そのインスタの「いいね」は“ミクロ浮気”か デジタルネイティブZ世代が考える不貞のサイン

AI要約

デジタルネイティブのZ世代は、恋人のデジタルライフにおける「ミクロ浮気」に悩むことが多い。オンラインでの行動が不貞のサインとして捉えられることもあるが、関係の定義や境界線はカップルごとに異なる。

若者はデートアプリやアルゴリズムによる恋愛ゲームに疲れ、セックスレスの傾向が強まっている。性的暴行被害も増加しており、若者の不信感は深刻な社会問題となっている。

専門家は、若者の不満や不信感を理解し、デジタル浮気をめぐる葛藤に対応する必要があると指摘している。

そのインスタの「いいね」は“ミクロ浮気”か デジタルネイティブZ世代が考える不貞のサイン

デジタルネイティブのZ世代は、恋人のデジタルライフのどんな行為を「浮気」と見なすのか。浮気を疑ったときに、どんな行動に出るのか。米紙「ワシントン・ポスト」が、生々しい実態を取材する。

彼氏がインスタグラムでモデルのビキニ写真に「いいね」した。それは裏切りか。無邪気な移り気か。あるいは、ただの小さな赤いハートマークか。

写真に友だちをタグ付けしたり、TikTok動画に「いいね」したり、われわれがオンラインですることのほぼすべてには跡が残る。恋愛関係にある人にとって、そうした痕跡は不貞のサインになりうる。事実そうであるにせよ、そう受け取られるだけにせよだ。

インターネット時代の小さな裏切り行為を指す「ミクロ浮気」ネタが、TikTokやインスタグラムなどのソーシャルメディアに絶え間なく流れている。ミクロ浮気のほとんどがオンラインで起こるので、カップルは互いのデジタル習慣を監視し、調べて、不貞のサインに目を光らせている。

大量のオンラインのやりとりにすぐアクセスできるがゆえに、何が適切であり、何が一線を越えているかを見分けることは難しい。こうした問題の“交通規則”が新しく、矛盾しているために、プライバシーの侵害や不適切な監視が起きていると指摘する人間関係の専門家もいる。

パートナーのオンラインライフに対して、われわれにはどれほどの権利があるのか。またある関係において、どれほどプライバシーを放棄するのが適切なのだろうか。

もっぱらZ世代の相談を受けるカウンセラーのラナ・コニグリオは、パートナーのオンライン行動に悩むクライエントが多いと言う。

スナップチャットのスコア(同アプリ上のアクティビティ尺度)が仕事中に上がるということは、浮気しているのか。Xでモデルをフォローするのはいかがわしいことか。ダイレクトメッセージで誰とチャットしているのか。元恋人をまだフォローしているのは問題か──。

こうした葛藤は、若い女性が多いコニグリオのクライエントに限ったものではない。

コニグリオはTikTokで2万人のフォロワーのために教育的な動画を作っているが、現代の浮気を定義しようとする人たちからメッセージがいっぱい届くという。たとえば、彼女がイケメンの同僚にインスタのリール動画を送っているが、それは浮気なのか──。

その答えは、誰に聞くかに依る。それぞれの関係にさまざまな境界線があり、あるカップルにとっては行き過ぎなことでも、別のカップルにとっては普通なのだ。

あるTikTokのトレンドでは、こっそりセックスするのと同じくらいひどい「ミクロ浮気」行動がリストアップされていた。問題となる行動には、ほかの女性のインスタストーリーに「いいね」する、オンラインの授業ディスカッションフォーラムで男子の投稿に返信する、ほかの女性のヘアタイを持っているところを見つかるなどがあった。

こうした動画はたわいなく、大げさに作られている。だが、こうしたデジタル浮気をめぐるやりとりは、若者が恋愛に対してますます不満を表明するなかで起こっている。

若者は、愛をお金とアルゴリズムのゲームに変えるデートアプリにうんざりしている。全年代の米国人がかつてないほどに、セックスをしなくなっている。決定的なのが、疾病管理予防センターが2023年に公表したデータだ。それによれば、米国の10代女子の14%が性的暴行を受けたことがあるという。

若者が不信感を抱くのを責めることはできないとコニグリオは指摘する。