ネタニヤフ氏訪米 バイデン、トランプ両氏と会談へ 政権交代にらみ両天秤外交

AI要約

イスラエルのネタニヤフ首相が米国を訪れ、バイデン大統領との会談が控えている。一方、トランプ前大統領もネタニヤフ氏と会談を予定しており、対イスラエル圧力が高まる中での動向が注目される。

ネタニヤフ首相は米議会で演説し、米国内の支持を強固にする狙いがある。一方、バイデン政権との関係はぎくしゃくしており、停戦協議などでの意見の相違が続いている。

トランプ氏との会談を通じて、ネタニヤフ氏は支持基盤を固めると同時に、トランプ氏との関係を改善し、将来の対米関係を円滑化する狙いがある。

ネタニヤフ氏訪米 バイデン、トランプ両氏と会談へ 政権交代にらみ両天秤外交

【ワシントン=大内清】米ホワイトハウスは23日、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相とバイデン大統領が25日に会談すると明らかにした。11月の大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領も23日、ネタニヤフ氏と26日に南部フロリダ州の邸宅マールアラーゴで会談すると発表。パレスチナ自治区ガザでの停戦実現に向けて国際的な対イスラエル圧力が強まる中、ネタニヤフ氏は米国の政権交代の可能性をにらみ、バイデン政権とトランプ氏を天秤にかけている格好だ。

ネタニヤフ氏は24日、米議会の上下両院合同会議で演説する。演説への招待は、親イスラエル姿勢を鮮明にする下院多数派の共和党が主導した。ガザ情勢などを巡り国内の政治基盤が不安定化しているネタニヤフ氏は、この機に自身への米議会内の支持をいっそう強固にする狙いがある。

一方、ネタニヤフ氏とバイデン政権はぎくしゃくした関係が続く。極右政党と連立を組むネタニヤフ氏が、米国が仲介するガザ停戦協議で強硬な態度を崩さないことや、バイデン政権が目指す将来のパレスチナ国家樹立による「2国家共存」を否定し、国際法に違反するヨルダン川西岸などでの入植活動を進めるなどしているためだ。

バイデン氏は25日の会談で停戦協議の前進を働きかけるとみられる。ただ、同氏は11月の大統領選から撤退したことで外交的なレバレッジ(てこ)が弱まっているのが現実。停戦実現に向けた成果が得られるかは極めて不透明だ。

これに対しトランプ氏は、ネタニヤフ氏と会談することで、支持基盤である親イスラエル的なキリスト教福音派や右派ユダヤ系の票固めを狙う。

トランプ氏は1期目、ネタニヤフ氏と蜜月関係を築いたが、過去には米軍による20年1月のイラン革命防衛隊司令官殺害に同氏が土壇場で協力しなかったとして不快感を表明した経緯もある。ネタニヤフ氏にとってトランプ氏との会談は、こうしたわだかまりを解き、同氏が大統領選で返り咲いた場合の対米関係を円滑化する布石となる。