「経済厳しい」と認めた中国…「2029年の改革完成」は習近平4期目の布石か

AI要約

中国当局が経済的に困難な状況にあることを認め、効果的なマクロ政策を施行する意向を示した。

中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議で、中国経済の現状や課題について議論され、将来の方針が明らかにされた。

習近平主席の再任を見据えた改革完了の時期設定や市場重視の姿勢が注目されている。

中国当局が現在の中国が経済的に容易ではない状況に置かれたことを認め、効果的なマクロ政策を施行すると明らかにした。今後10年間の中国の経済政策基調を出す中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)の結果を説明した内外信記者会見でのことだ。

中国国営新華社通信が19日に報じたところによると。党中央委員会中央政策研究室の唐方裕副主任は記者会見で、「マクロ的データとミクロ的実体の間の温度差」に関する中国メディアの記者の質問に対し、「現在中国経済は回復と改善がなされているが、有効需要が不足している。主要マクロ指標もやはり一部の困難と挑戦に直面している」と答えた。

唐副主任はまた「経済回復が十分に強くなく、地域・産業・企業ごとに格差がある。次の段階で政策と改革の力を基に持続的な経済回復を促進し、バランスが取れて普遍的な利益となって包容的発展を成し遂げるだろう」と話した。続けて「経済成長と構造で財政資金を十分に活用しなければならない」としながら積極的な財政政策の効果を強調した。

中国経済の足を引っ張っているとされる不動産市場に対しては、「不動産発展新モデルの構築を加速しなければならない」と述べた。資金支援ではなく構造調整を通じて正すという意味と解釈される。

今回の3中全会では、300件を超える重要改革措置提案がなされたことがわかった。唐副主任は「すべて体制と制度的側面に関する内容。過去の改革措置を補完し完備することと、実験と探索のために新たに提出された改革措置のすべてがある」と説明した。

唐副主任はまた、今回通過した決定が15個のパートと60個の条項で構成されているとし、「全体会議出席者は決定草案をめぐって熱を帯びた討議を行い、今回の決定を高く評価した」と言及した。

この日の記者会見には穆虹人民政治協商会議全国委員会副主席、懐進鵬教育部長、沈春耀全人代常務委員会法制活動委員会主任らが参加し、中国式近代化と、科学技術発展、法体系改善などに関して質疑応答を進めた。

ただ、これまで習近平国家主席が強調してきた「高品質発展」が前面に出され過去のように大規模な財政投入はないだろうという分析が出ている。

みずほ銀行のエコノミストはブルームバーグとのインタビューで「高品質発展を採択したのは他の成長戦略がない点を意味する。不動産市場に向けた画期的な措置はないままリスク予防策だけが強調された」と話した。

香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストも「市場の役割が下方修正された。市場を『より良いレバレッジ』と表現して過去の『決定的な役割』とは異なる用語を使った」と分析した。

スタンダードチャータード銀行の中華圏首席経済学者のディン・シュアン氏は「過去と比較すると市場にばかり全面的に依存してはならないというシグナルであるかもしれず、市場の失敗を埋め合わせる必要性を強調したもの」と同紙に話した。

一方、改革課題の完了時期をめぐって習主席の4期目続投を念頭に置いたものではないかとの分析も出ている。

これに先立ち中央委員199人と候補委員165人の364人が参加した3中全会で、党中央委員会は「一歩進んだ全面改革深化と中国式近代化推進に関する党中央の決定」を通過させた。その上で「2035年までに全面的に高い水準の社会主義市場経済体制を建設し中国特色の社会制度をさらに改善して中華人民共和国成立80周年となる2029年までに今回の決定が提案した改革任務を完成する」と明らかにした。

2022年の第20回党大会で3期目を確定した習主席は2027年に開かれる第21回党大会で4期目続投の可否が決定される。そのために「2029年」と設定したのは執権延長を前提とした布石だろうということだ。

成均中国研究所は19日に発表した特別リポートで「2029年を改革任務完成の時期と明確に提示することにより習近平主席が再任してこそ改革も成し遂げられるという論理的連関を推論することはできる。ただ相関関係が明確でなく推移を見守る必要がある」と解釈した。