副大統領候補J.D.ヴァンスが「白人貧困層出身」を演説で強調、米共和党大会

AI要約

ジョン・デイヴィッド・ヴァンスが米共和党の副大統領候補に指名された。彼は回顧録『ヒルビリー・エレジー』のテーマを強調し、中西部の有権者にアピールした。

ヴァンスはトランプ前大統領を称賛し、バイデン政権を批判。また、幼少期を描いた『ヒルビリー・エレジー』を通じて、自身の地元が忘れられた地として描いた。

ヴァンスの知名度はまだ高くないが、シリコンバレーとの関わりやトランプ支持者とのつながりを持つ。彼は政治の道に進む前に、ベンチャーキャピタリストやバイオテクノロジーの起業家として活動していた。

副大統領候補J.D.ヴァンスが「白人貧困層出身」を演説で強調、米共和党大会

米共和党の副大統領候補に指名されたオハイオ州選出の上院議員のJ.D.ヴァンスは、7月17日の共和党全国大会で、自身の回顧録『ヒルビリー・エレジー―アメリカの繁栄から取り残された白人たち』のテーマを前面に押し出し、中西部の有権者らに積極的なアピールを行った。

スピーチの冒頭でヴァンスは、トランプ前大統領が過去8年の間、国のために全力を尽くしてきたと述べ、「彼は政治を必要としなかったが、国は彼を必要とした」と語った。また、13日の暗殺未遂事件に触れたヴァンスは、銃撃を受けたトランプが立ち上がったときに、「米国全体が彼と共に立ち上がった」と語った。

彼はまた、オハイオ州ミドルタウンでの自身の幼少期を描いた『ヒルビリー・エレジー』のテーマに触れて、「今夜ここに立っているなんて、夢にも思わなかった」と語り、自身が育った町が「ワシントンの支配階級に見捨てられた、忘れ去られた場所だ」と嘆いた。

ヴァンスは、バイデン大統領が上院議員時代に支持した貿易協定が「中産階級の製造業の仕事を破壊した」と述べ、ミドルタウンや他のラストベルトの町が苦境に直面したのはバイデンの責任だと非難した。

彼の同日のスピーチは、過激な保守派のイメージを持つ彼としては比較的穏やかな内容だったが、観客たちを沸かせ、彼は、何度も歓声と拍手を浴びていた。

ヴァンスの登場に先立ち、ステージに現れた彼の妻のウシャ・チルクリ・ヴァンスは、彼を「ミドルタウン出身の飾り気のない人」と形容し、ヴァンスが彼女の母親のためにベジタリアンのインド料理を学んだというエピソードを紹介した。彼女はまた、幼少期をサンディエゴで過ごした自身と、オハイオ州の低所得家庭で育ったヴァンスの生い立ちが大きく異なることに触れ、「JDは私と最初に出会ったときに、私たちの違いを好奇心と熱意を持って受け入れてくれた」と付け加えた。

ドナルド・トランプ・ジュニアは、この日のスピーチで銃撃事件について厳粛に語り、バイデンを攻撃し、一時的に17歳の娘カイ・トランプをステージに上げて、彼女と祖父との関係について短く語った。

17日には他にも多くの人々が演説し、国家の安全保障や外交政策、移民政策について語った。また、2021年のアフガニスタン・カブール空港の自爆テロで亡くなった13人の米軍兵士の家族がステージに上がり、愛する人を亡くした悲しみを描いたビデオの上映に続いて、アフガニスタンからの混乱に満ちた米軍の撤退についてバイデン大統領を非難した。

2022年に上院議員に選出された39歳のヴァンスの知名度は、一般有権者や党内の人々の間で、まださほど高くない。15日に発表されたYouGovの世論調査では、回答者の43%がバンスについて意見を持っていないと回答し、一部の共和党員も彼をよく知らないことを認めている。

■シリコンバレーとトランプをつなぐ役割

ヴァンスが2016年に出版したベストセラーの『ヒルビリー・エレジー』は、ラストベルトと呼ばれる米国中西部での幼少期を描いたもので、貧しい白人が大多数を占める地方の暮らしを克明に描き、トランプの支持の高まりを説明する著作として注目を浴びた。

彼は、政治の道に進む前にベンチャーキャピタリストやバイオテクノロジーの起業家として働いた経験を持ち、2022年の上院議員選挙でPayPal創業者のピーター・ティールから1500万ドルの支援を受けていた。

ヴァンスは、シリコンバレーの寄付者とトランプをつなぐ役割を果たしており、彼の友人のテック起業家のデビッド・サックスは、6月にシリコンバレーでトランプの資金集めのイベントを開催し、1200万ドルを集めていた。