トランプ「暗殺未遂事件」でウクライナ情勢に異変か…!右派勢力の過激化が引き寄せる「核兵器による世界大戦」

AI要約

7月9~11日、ワシントンで開かれたNATO首脳会議は、ウクライナのNATO早期加盟は実現しないが、西側はウクライナへの武器・財政支援を強化する方針を確認した。

ロシアは予想された夏季大攻勢をかけてこなかったため、ウクライナが新たな戦力を得てロシア深部への攻撃力を増強している。

ウクライナ右派過激勢力は、ロシア攻撃への西側支援を維持するために行動し、核兵器使用や世界大戦の危険も懸念されている。

トランプ「暗殺未遂事件」でウクライナ情勢に異変か…!右派勢力の過激化が引き寄せる「核兵器による世界大戦」

7月9~11日、ワシントンで開かれたNATO首脳会議は、ほぼ予想通りの結果で終わった。ウクライナのNATO早期加盟は実現しない、代わって西側はウクライナへの武器・財政支援を強化していく、というのが基本。

一方、ロシアが世上ささやかれていた「夏季大攻勢」をかけてくることはなかった。ウクライナにはこれからF-16戦闘機等の新戦力が到着。ロシア深部への攻撃力を増す。

7月13日の暗殺未遂事件を乗り切ったことでトランプが次期政権を取る可能性は相当高まった。11月、もしトランプが米大統領に当選すれば、彼は停戦への圧力を強めてくる。バイデン大統領の年齢問題もあり、米国政権は来年1月までレームダック状態に陥る。

欧州は、フランスのマクロンが7月の総選挙で負けたことで、取りまとめ役がいなくなった。

こういう情勢を見て取ったウクライナ、特に右派過激勢力は、見境ないロシア攻撃を強めようとするだろう。それが、ふらふらする西側をウクライナ支援につなぎ留めておくための唯一の手段だ――と彼らは考える。それはまた、彼ら自身の国内での地位を保全する手立てともなる。

これは、ロシアによる核兵器使用、そしてそれへの西側の報復と、核兵器による世界大戦に至る宿命的な導火線か?

ウクライナ右派過激勢力はヌエのような存在で、その実体は中々見えなかったが、今は「アゾフ旅団」とその司令官代理ボグダン・クロテヴィチ(31歳)がスポークスマン役を務める。もともとは、第2次世界大戦から戦後にかけ、今のウクライナ西部でドイツ軍、次いでソ連軍と戦った独立派バンドゥーラの勢力が発祥のようだ。鎮圧後も、西側の諜報機関はその残存勢力と関係を維持していたという説もある。

2013年11月、キーウでヤヌコーヴィチ政権への反対集会が始まると、ウクライナ西部を中心に青年不満分子が様々の右派グループの旗を掲げて参集した。その中にはカギ十字、つまりナチの旗を掲げる者達もいた。彼らはインテリ、親EU勢力に代わって、反ヤヌコーヴィチ運動の主導権を取り、2014年2月には大統領公邸を占拠してクーデターを実現する。

このため、プーチン大統領は今でも、ウクライナはネオ・ナチ勢力が牛耳っている、というプロパガンダを展開しているのだが、右派の全員がネオ・ナチだったわけではない。それに、14年5月の選挙でポロシェンコ大統領が登場してからは、右派勢力も政府に取り入れられていく。それまでの同勢力指導者達はこぼれ落ちて、今では社会の片隅に生きている。

そして残った青年不満分子は、通称「アゾフ大隊(後に連隊から今の旅団に拡張)」という精強な部隊に仕立て上げられた。これを仕切ったのは当時のアヴァーコフ内相で、彼は後にゼレンスキー大統領と対立、辞任に至っている。その後、彼は政治の表舞台に登場することはないが、何らかの利権を差配しているようで、アゾフ旅団を使って何をするかわからない。