トランプ前大統領の演説5分前に目撃された銃撃犯…米治安当局はなぜ逃したのか

AI要約

米国議会がトランプ前大統領に対する暗殺未遂事件の全面的な調査を発表。議員らがシークレットサービスの高官を呼び、聴聞会を開くことを決定。

事件の始まり、容疑者の行動、警護の不備に関する詳細。クルックス容疑者が屋上からトランプ前大統領を狙撃し、死亡した経緯。

重要人物のセキュリティ、銃器所持の自由、トランプ前大統領の銃所持擁護と支持層について。対策の限界と問題点を分析。

 米国議会がドナルド・トランプ前大統領に対する暗殺未遂事件を全面的に調査すると発表した。

 マイク・ジョンソン下院議長は13日(現地時間)、下院の政府監視委員会を招集し、議員らが米国シークレットサービス(USSS)のキンバリー・チートル長官をはじめ国土安保省や連邦捜査局の高官らを呼んで、できるだけ早く聴聞会を開くと述べた。ジョンソン議長は「米国民は真実を知るべき資格がある」とし、議会による調査を進める方針を示した。下院のジェームズ・コーマー政府監視委員長はこの日、チートル長官に送った書簡で、22日の聴聞会への出席を求めた。

 今回の事件に対する調査が始まったことで、シークレットサービスなど関連当局の不十分な対処が議論を呼ぶものとみられる。シークレットサービスは米国土安保省傘下の組織で、大統領や大統領当選者など要人の警護や金融犯罪捜査などを担当する司法機関だ。

 米連邦捜査局が今回の事件の容疑者と明らかにした20歳の男性トーマス・マシュー・クルックスは、トランプ前大統領の演説現場からわずか150メートルの距離の工場の屋上に隠れてトランプ前大統領を狙撃したという。この距離は、米陸軍訓練兵がM6小銃で人の大きさの物体に命中させなければならないくらいの近距離だ。大統領級の要人の警護では、絶対的に安全が守られなければならない距離といえる。

 特に、容疑者はトランプ前大統領を狙撃する数分前に小銃を持って工場の屋上に這い上がる姿が聴衆に目撃されたと、BBC放送が報じた。演説会場の外にいた住民のグレッグ・スミス氏は同日、BBCにトランプ前大統領の演説開始5分後に「私たちがいるところから約15メートル離れた建物の屋根に熊のように這い上がる男を見た」とし、彼はライフルを持っていたと語った。スミス氏は警察に銃撃犯がいると伝えたが、屋根の斜面のせいで警察には容疑者が見えなかったようだと話した。容疑者はその後、警護員らによる狙撃で死亡した。

 シークレットサービスの元監督官のボビー・マクドナルド氏はロイター通信に「トランプ氏は前大統領として非常に厳しい警護を受けていた。だが、警護に必要なすべてのものを例外なく受けたわけではなく、この事件は調査すべき面があると思われる」と語った。

 米国大統領や大統領候補の演説現場では銃器所持の有無などのセキュリティ検査が行われるが、容疑者がトランプ前大統領を狙撃した建物は警護範囲に含まれていなかった。銃の所持が自由な米国では、重要人物の野外行事では、銃器所持のセキュリティ検査に限界がある。トランプ前大統領は銃所持権を擁護しており、彼の積極的な支持層は熱狂的な銃所持支持者たちだ。

チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )