主要懸案の度に見え隠れする尹大統領夫人の影…野党「国政への介入」

AI要約

批判を受ける国民の力党の大統領夫人、キム・ゴンヒ女史が、ブランドバッグ受け取り疑惑と謝罪に関する問題について積極的な姿勢を示していることが明らかになっている。

キム女史は外部の人たちとの個人的なコミュニケーションを通じて懸案に取り組んでおり、与党内での物議を醸している。

野党はキム女史の行動を国政に介入する可能性があるとして厳しく批判しており、問題は広がる一方だ。

 7月23日に開かれる与党「国民の力」の党大会を控え、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が自身の「ブランドバッグ受け取り疑惑に対する謝罪」をはじめとする主要懸案について、(大統領室)外部の人たちと活発に個人的なコミュニケーションを取ってきたことを示す携帯電話のショートメールと証言が相次いで公開されている。

 キム女史は大統領選挙前の2021年12月、経歴詐称疑惑について謝罪記者会見を開き、「妻の役割に専念する」と約束したが、それとは裏腹に最近明らかになったのは公的な事案について自ら意見聴取をするなど、積極的に関与してきた姿に近い。これに対し、野党はキム女史が広範囲にわたり国政に介入した可能性があるとし、強く批判している。

 キム女史が1月、ブランドバッグ受け取りに関する謝罪問題で、ハン・ドンフン当時国民の力非常対策委員長に送った5件のテレグラムメッセージが最近公開されたのに続き、10日には光云大学情報科学教育院のチン・ジュングォン特任教授がキム女史と57分にわたり電話で話し合った事実を公開した。

 チン教授はこの日、フェイスブックへの投稿で「前回の総選挙直後、ほぼ2年ぶりにキム女史から電話があり、(電話を切ってから通話)記録を見ると、57分間話していた」とし、「(ブランドバッグ受け取りについて)自身は謝罪するつもりだったが、周辺で強く引き止めたという。一度謝罪をすれば今後も謝罪を続けなければならず、そうするうちに結局政権が危険になりかねないという論理だった」と電話で話した内容を明らかにした。

 チン教授はフェイスブックへの投稿で「キム女史が謝罪をしなかった責任はすべて自分にあると言っていたのに、今になって与党の核心部では謝罪ができなかったのはハン・ドンフン(前非常対策委員長)のためだと主張している」と批判した。ところが、ここで注目すべきなのは、キム女史が民間人のチン教授に先に電話をかけて長時間話し合ったという点だ。

 チン教授の投稿によると、キム女史は当時の通話で「実はその時、教授に電話をかけて助言を求めようとしたが、今になって考えると、その時に電話をすべきだった。今後こんなことがあればすぐ電話する。私が電話しなくても、教授が何か問題があると判断した場合は、いつでも電話で指摘してほしい」と語ったという。キム女史が様々な事案について、外部の人たちと「自ら意思疎通」を図ることに積極的であることを示す内容だ。

 キム女史は今年1月、ハン・ドンフン非常対策委員長(当時)に送ったメッセージでも、「一度だけV(尹錫悦大統領を指す)と電話で話すか、会うのはいかがですか」(1月15日)、「近いうちに二人で食事でもしながら誤解を解いてほしいです」(1月25日)と書いた。

 このようなキム女史の行動について、大統領室関係者は「個人的に近い人々と本人をめぐる問題について話し合ったもの」だとし、「ショートメールや電話の内容が外部に明らかになったため、問題であるかのように見えるだけで、普通の人々が普段行う程度のコミュニケーション」だと述べた。しかし、大統領の配偶者のブランドバッグ受け取りは、厳然たる公的な問題であり、キム女史がプライベートで政務的議論をするのは適切ではないという批判の声もあがっている。

 キム女史が尹大統領の国政運営に直接・間接的に介入する可能性は、大統領選挙前から周辺関係者の暴露などを通じて指摘されてきた。キム女史は尹大統領が当選する以前の2021年ユーチューブチャンネル「ソウルの声」イ・ミョンス記者との電話で、一部報道機関を指し「私が青瓦台に行けば、みんな刑務所に入れてやる」と語るなど、政務的な対話を交わす録音が公開されたことがある。2022年6月、キム女史にブランドバッグを渡したチェ・ジェヨン牧師もやはり当時キム女史がだれかからかかってきた電話に出て、「金融委員に任命すべきということですか?」と言ったとして、キム女史の人事介入疑惑を持ち上げた。

 共に民主党のパク・チャンデ党代表職務代行兼院内代表は10日、国会で開かれた最高委員会議で「キム女史のショートメール全文が公開されたが、その内容は驚愕そのもの」としたうえで、「キム女史の広範囲な国政介入の可能性を排除できなくなった」と述べた。さらに「海兵隊員殉職事件の捜査過程で登場した大統領室の電話番号『02-800-7070』の実際の使用者が大統領夫人ではないかという疑念が高まらざるをえない」とし、「あらゆる手段を動員し、『大統領夫人国政介入ゲート』の真相を明らかにする」と語った。

ソン・ダムン、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )