「よく知った人なのに誰だかわからない」──NATO首脳は前からバイデンの知力低下を知っていた

AI要約

NATO首脳会議では、各国首脳がジョー・バイデン大統領の再選に懸念を抱いており、彼の認知機能の低下が話題となった。

バイデンの高齢に関連した不安が広がる中、トランプの支持率がリードする中、同盟国は次期大統領に関して不安を募らせている。

トランプのNATOに対する嫌悪やロシアへの懸念が共和党全国大会や選挙戦に影響を及ぼしている。

「よく知った人なのに誰だかわからない」──NATO首脳は前からバイデンの知力低下を知っていた

7月9日にアメリカの首都ワシントンで開幕したNATO首脳会議。各国から集まった指導者たちは盛んに、ジョー・バイデン米大統領の再選は無理だろう、と懸念していた。NATO各国の首脳たちは、バイデンの認知機能が低下しているのを知っていた。会議で「よく知る相手」に会っても誰だかわからない時もあったという。【マンディ・タヘリ】

米調査会社ユーラシア・グループの代表を務める国際政治学者のイアン・ブレマーは9日、ニュース専門局MSNBCの番組に出演し、NATO加盟国の指導者たちから聞いた話を伝えた。

それによれば、首脳たちはバイデンが「あと4年職務を果たせる」とは考えていない。こうした見方は、イデオロギーに関係なく、右派から左派まであらゆる指導者に共通し、「彼らの間では以前からあった」懸念だと、ブレマーは語った。

その2週間近く前の6月27日、アメリカでは大統領選に向けた第1回テレビ討論会が行われ、共和党の指名を確実にしているドナルド・トランプ前大統領との論戦で、バイデンは世界に失態をさらした。ロイド・ドゲット下院議員を筆頭に、民主党内では81歳のバイデンは選挙戦から撤退し、別の指名候補を立てるべきだ、という声が上がっている。

<悪名高いNATO嫌い>

NATO創設75周年の節目に当たる今年の首脳会議はバイデンをホストに7月11日まで行われる。その舞台裏でバイデンの高齢不安説が渦巻いているのは皮肉な話だ。

「各国首脳はバイデンを嫌っているわけだはない」と、ブレマー は語った。「それどころか、とても心配しているのだ......もしもトランプが大統領選に勝ったらどうなるのかと」

ロシアのウクライナ侵攻やNATO、EUに関するトランプのこれまでの発言を考えれば、同盟国の首脳が不信感を募らせるのも当然だ。

トランプは7月15日から開催される共和党全国大会で、正式に大統領候補指名を受諾するとみられる。トランプとバイデンの支持率は伯仲しているが、世論調査分析サイトのファイブサーティーエイトによると、7月10日時点ではトランプが2.3ポイント差でわずかにリードしている。

トランプは以前からNATOが嫌いだったが、今年2月の選挙集会での発言はとりわけ衝撃的だった。トランプは自分が大統領になったら、軍事費を出し惜しみする同盟国にロシアが攻め入っても「アメリカは守らない」と断言したのだ。

そればかりか、「何でも好き勝手にやってくれと(ロシアを)けしかける」、とまで言った。ロシアのウクライナ侵攻が始まって2年近く経とうとする時期に、アメリカの次期大統領になるかもしれない人間がそんな発言をしたことに、同盟国は肝をつぶした。