NATO、節目の首脳会議へ 7兆円規模のウクライナ支援継続の見通し

AI要約

北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が米ワシントンで開催され、ロシアによるウクライナ侵攻に対する支援と結束が討議された。

会議では、ウクライナのNATO加盟を支援する方針や防衛強化策が協議され、新たな取り組みが打ち出された。

米国のバイデン大統領にとっても重要な外交機会であり、NATOの民主主義陣営の強化と安全保障に関する議論も行われる。

NATO、節目の首脳会議へ 7兆円規模のウクライナ支援継続の見通し

 北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が米ワシントンで現地時間9日、3日間の日程で開幕する。ロシアによるウクライナ侵攻が長引く中、長期的な視野で支援を継続、強化する方策を議論し、結束を確認する。米政府高官によると、加盟国で来年、年間400億ユーロ(約7兆円)の支援を継続することで合意する見通しだ。また、共同宣言ではウクライナの悲願であるNATO加盟に向け、「明確で力強い文言」を盛り込む方向で調整している。

 米欧の軍事同盟であるNATOは今年で設立から75年を迎え、節目の会合となる。新たに加盟したスウェーデンを含めた32の加盟国とウクライナのほか、日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランドがインド太平洋地域のパートナー国として招待された。ロシアが中国や北朝鮮などと連携を深める中、民主主義陣営の結束を示すほか、欧米だけでなく、インド太平洋での安全保障についても議論する。

 NATOの盟主である米国のバイデン大統領にとっては、6月末の大統領選討論会で浮上した高齢不安を払拭(ふっしょく)し、指導力を国内外に見せる機会になる。

 今回の会議ではウクライナに安定的な支援を実施する枠組み作りが主要なテーマとなる。具体的には、加盟国が個別に実施していた防衛装備や訓練の提供を調整するNATOの新司令部をドイツに設置する。また、ウクライナの首都キーウ(キエフ)にNATOの文官を初めて常駐させ、ウクライナ政府との調整に充てる方向だ。NATOに懐疑的な米国のトランプ前大統領が返り咲いた場合でも、支援に支障が出ることを防ぐ狙いがある。また、ウクライナへの防空システム供与など、防衛強化策でも合意する見通し。

 米国家安全保障会議(NSC)のカーペンター欧州上級部長は8日の記者会見で「NATOは史上最強の防衛に関する同盟だ。その同盟はかつてないほど大きくなり、強化され、そして団結している」と述べ、会議の成功に自信をみせた。【ワシントン松井聡】