米ユダヤ団体、「ハマスのテロ否定」報道を非難するよう日本政府に求める 長崎市にも懸念

AI要約

米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が、日本の一部ソーシャルメディアで行われているイスラエルに対するハマスのテロ攻撃を否定する報道を非難し、長崎市の平和祈念式典にイスラエル大使を招待していないことに懸念を表明。

同センターの副所長が日本政府に書簡を送り、ジャーナリストの発言や長崎市の招待を批判。大高未貴さんは自らの立場を弁護し、外務省はハマスのテロ攻撃を非難している。

反ユダヤ主義の広がりや日本での反応について、同センターが懸念を示し、日本の各都市での対応を挙げている。京都市のホテルがイスラエル人男性の宿泊予約を拒否した事件も指摘されている。

米ユダヤ団体、「ハマスのテロ否定」報道を非難するよう日本政府に求める 長崎市にも懸念

米ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は、イスラエルに対するイスラム原理主義組織ハマスのテロ攻撃を否定する報道が日本の一部ソーシャルメディアで行われているとして、日本政府が公式に非難するよう求めた。日本での反ユダヤ主義の広がりに懸念を示し、長崎市が8月9日の原爆忌に行う平和祈念式典にイスラエル大使を招待していないことを一例にあげた。

同センターは声明で、6月17日付でエーブラハム・クーパー副所長が、山田重夫駐米大使宛てに書簡を送ったと発表した。書簡は、昨年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃をめぐり、ジャーナリストの大高未貴さんが「イスラエル人女性に対する性暴力などのテロを否定した」と批判している。動画投稿サイト「ユーチューブ」の番組で、パレスチナ側の取材をもとにハマス民兵はイスラム教の信仰心が強く、レイプ犯罪は考えにくいとの見方を示したり、イスラエル側の支援団体報告を「プロパガンダ」と呼んだりしたことを問題視した。大高さんは、国会議員が記事を載せる出版物に執筆するほど報道人として影響力があると強調し、発言を事実と受け止める人が出てくると懸念を示した。

■本人「テロ否定していない」と反論

長崎市については、市長がイスラエル大使を式典に招かず、パレスチナ自治政府代表の招待を決めたことを批判した。声明で「テロリストを免罪し、反撃する犠牲者を責める親ハマス言説が日本で広まることを懸念する」と記した。長崎市は、イスラエル大使館には書簡で、招待はデモなど不測の混乱を回避するために保留したものだと説明し、ガザでの即時停戦を求める立場を伝えたとしている。

大高さんは産経新聞の取材に、同センターの指摘について「私は反ユダヤ主義者ではない。テロ攻撃は否定していない。イスラエル、パレスチナ双方の人命を尊重している。多角的な真相究明や検証は大事。指摘については自分できちんと検証し、後日発表するつもりだ」と主張した。外務省は、「政府としてハマスのテロ攻撃を非難し、発信している。個々の対応を論評する立場にはない」としている。

同センターは米ロサンゼルスに本部を置き、ホロコーストの記録保存や反ユダヤ主義の監視を行う民間団体。声明では、長崎市の決定のほかに日本で見られる反ユダヤ主義の例として、京都市のホテルが、イスラエル人男性の宿泊予約を拒否したことを挙げた。(三井美奈)