<北朝鮮>意外にも中国の経済制裁は厳格だった 「マットレスの鉄製バネも見逃さない」 北政府は「国家密輸」に活路求めるが…(訂正版)

AI要約

中国は北朝鮮への経済制裁を厳格に履行しており、北朝鮮政府は密輸に活路を模索している。

中国と北朝鮮の公式貿易は鉄製品などの制裁品目に苦しめられており、北朝鮮側も支援物資を拒否する厳格な方針を取っている。

北朝鮮からの輸出品は主に原料であり、自動車や自転車の部品は密輸している。

<北朝鮮>意外にも中国の経済制裁は厳格だった 「マットレスの鉄製バネも見逃さない」 北政府は「国家密輸」に活路求めるが…(訂正版)

中国は北朝鮮への経済制裁を厳格に履行していた――。吉林省と北朝鮮の両江道(リャンガンド)を結ぶ通商口の実情から、少し「意外な」事実が浮かび上がった。マットレスの輸出ひとつをとってもバネなどの鉄製品の通関を認めない徹底ぶりで、中国の貿易業者にとって一筋縄ではいかない状況だ。その結果、北朝鮮政府は密輸に活路を見出そうとしていた。7月初旬、朝中貿易事情に詳しい吉林省に住む貿易仲介業者のA氏に取材した。(洪麻里/カン・ジウォン)

アジアプレスでは、5、6月にもA氏に取材し、密輸が再開されている事実を伝えてきた。これまでの取材によると、密輸が行われている現場は鴨緑江上流に位置する両江道の恵山(ヘサン)市と、対岸の吉林省白山市長白県付近だ。北朝鮮当局は、個人による密輸を一切認めず、完全に国が統制管理する「国家密輸」を行っていることが明らかになっている。

※国家密輸:国家の承認を受けた北朝鮮の貿易会社が中国の密輸業者と行っている。北朝鮮側では封鎖された現場で、税関員、保衛員(秘密警察)、安全員(警察)などの立ち会いの下、「公式」の手続きをし、品目と数量を厳格に管理して行われる。

以下、A氏とのやり取りを整理した。

――朝中間の公式貿易はどのような状況ですか?

中国当局が輸出の制裁基準を厳格に守っているため、貿易業者は苦労している。例えば、制裁品目のひとつに鉄製品があるが、マットレスを輸出するにしてもチャックやバネを取り除かなければならない。コロナ前から貿易をしてきた業者が、「ここまで細かくチェックする必要があるのか」と言う程だ。

――北朝鮮側の態度はどうですか?

以前は、(北朝鮮での生活が厳しいのを知っているため)中国の業者が北朝鮮の貿易関係者に支援物資(食糧など)を渡してきた。しかし今は、北朝鮮当局の統制が非常に厳しくなり、一切受け取ってはいけないという方針になった。援助しようとしても受け取らないのだ。支援物資をわずかでも受け取ると調査の対象になるようだ。だから北朝鮮当局は、支援物資を送るくらいなら、むしろ(その支援物資を)中国で売って、その金をくれと言っているそうだ。

――北朝鮮へ何を輸出していますか?

ほとんどが原料だ。加工済みの人髪や羊毛を輸出し、北朝鮮国内でつけまつげやカツラに加工されたものを、再度中国が輸入している。あとは、バッテリー。

自動車や自転車の部品は(制裁対象のため)密輸している。(北朝鮮が個人の商売を統制しているため)ジャンマダン(市場)でそのまま売れるような(衣類の)既製品や英語の文字が書かれているような商品は輸出できないそうだ。