バイデン氏、トランプ前大統領めぐる「免責」判断を批判 「法の支配」損なうと

AI要約

アメリカの連邦最高裁がトランプ前大統領の刑事責任の一部を免責する判断を示すも、バイデン大統領は批判。トランプ支持者は判決を歓迎。事件の影響は広範囲に及ぶ。

最高裁は大統領の公的行為に関して免責する判断を下し、裁判は遅れることに。バイデン氏は強い言葉で判決を批判し、今後の展開に不安を示す。

トランプ氏は判決を「勝利」と称賛。民主主義の危機を訴える意見も。最高裁判事らの意見対立や、今後の裁判への影響が懸念される。

バイデン氏、トランプ前大統領めぐる「免責」判断を批判 「法の支配」損なうと

アメリカの連邦最高裁が1日、ドナルド・トランプ前大統領の刑事責任の一部を免責する判断を示したのを受け、ジョー・バイデン大統領は同日、「危険な前例」になると批判した。

バイデン氏は今回の判断について、「法の支配」を弱体化させ、国民にとって「ひどい不利益」をもたらすものだとした。

一方、トランプ前大統領はこれよりも先に、最高裁の判断は民主主義にとって「大きな勝利」だとたたえた。

判事らはこの日、大統領は「公的な行為」に関しては免責され、「公的ではない行為」に関しては免責されないと判断。下級審に審理を差し戻した。

これにより、2020年大統領選挙でバイデン氏勝利の結果を覆そうとしたとして起訴されたトランプ前大統領に対する刑事裁判は、さらに遅れることになる。

下級審では今後、どの行為が大統領の職務として行われたかを判断しなくてはならず、それに数カ月かかる可能性がある。そのため、11月の大統領選の前に裁判が始まる可能性は低くなった。

■バイデン氏は強く批判

バイデン大統領は1日夜のテレビ演説で、「アメリカに王は存在しないという原則に立ってこの国は建国された。私たちはみな法の前で平等だ。誰一人として法を超える者はいない。アメリカ大統領であってもだ」と強調。

「今日の(最高裁の)判断は、大統領ができることに事実上制限はないと言っているも同然だ」とした。

また、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件に言及し、「議事堂に暴徒を送り込んだあの男は、あの日起きたことに関して有罪とされる可能性がある。米国民は迫りつつある(大統領)選挙の前に、法廷での答えを得る資格がある」と主張。

「だが、今日の(最高裁の)判断で、その可能性は極めて低くなった」と述べた。

■前大統領には追い風に

一方、トランプ前大統領にとっては大きな追い風となった。前大統領は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に「大勝利」と書き込んだ。

トランプ前大統領は連邦議会襲撃事件をめぐり、ツイートや発言を通じて暴動を扇動したなどとして起訴されている。しかし連邦最高裁はこの日、事件当日の演説やソーシャルメディアでの活動はすべて公的な行為だと認めた。

最高裁判事のうちリベラル派の3人は、この判断に強く反対した。ソニア・ソトマイヨール判事は「今や大統領は法の上に立つ王となった」とした。

民主党のジュディ・チュー下院議員は、今回の判断の影響は広範囲に及ぶだろうとコメント。「ドナルド・トランプにとっては勝利であり、アメリカの民主主義にとっては真の打撃だ。影響は計り知れない。もし大統領が、私たちが不適切で犯罪だと考えることをやりたいと公的な立場で発言すれば、その行為は免責される可能性がある」と訴えた。

今回の判断は、トランプ前大統領のフロリダ州の自宅で極秘文書が発見された事件や、前回の大統領選で前大統領がジョージア州での敗北を覆そうと共謀したとされる事件の裁判にも適用される。

(英語記事 Biden says ruling on Trump undermines rule of law)