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AIの“ニセ歌手音声”を防げ アメリカで通称「エルビス法」成立 「声」を個人の財産として保護【現場から、】
AIが進化する中、歌手の歌声を無断で使用するサービスが広まり、アーティストの権利侵害が問題視されている。
テネシー州で施行された「エルビス法」は、個人の声を財産として保護する初の法律であり、アーティストを保護する取り組みとして注目されている。
AI技術の進化による音楽クリエーターの収入減少や、無許可のAIサービスが広がる背景、そして業界への影響が議論されている。
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シリーズ「現場から、」。人工知能=AIが日々進化するなか、歌手の“命”である「歌声」を無断で使用するサービスが広がっています。対策としてアメリカで誕生した法律、その名も「エルビス法」とは。
いま、自分の声をAIで別人の歌声そっくりに変えられるサービスが急速に広がっています。
こうした“歌声”のSNS投稿が人気を集め、注目されているこのサービスですが、そのほとんどが許可を得ていません。
有名アーティストらがこの春、AIによる権利の侵害を非難する声明を出すなど、大きな問題となっています。
そこで、こんな法律が…
記者
「音楽の都・テネシー州で、全米のアーティストらが注目する初めての法律が施行されました。その名も、エルビス法です」
あのエルビス・プレスリーが世界に羽ばたくきっかけとなった、テネシー州で誕生した通称「エルビス法」。写真や名前に加え、「声」を初めて個人の財産として保護する対象にし、無断使用されるのを防ぐ法律です。
違反した場合、最高2500ドルの罰金などが科されます。
法律の制定に携わった音楽団体は…
ソウルズビル財団 パット・ミッチェル・ウォーリーCEO
「エルビス法で特筆すべきは、アーティストを守ってくれるという部分です。彼らの生活のため、法案は重要でした」
AIの進化によって、音楽クリエーターの収入は4年後には3割近くも減少するという調査もあり、危機感が広がっているのです。
ミュージシャン クリス・クラークさん(21)
「歌声をAI、泥棒から守る必要があります。だって僕らのオリジナルですから」
無許可のAIサービスはなぜ広がるのか。歌手の許可を得てサービスを運営している経営者は…
ボイス・スワップ ダン・スタイン共同創業者兼CEO
「シリコン・バレー界隈でよく使われる言葉があります。『許可を取らずに後で許しを請え』というもので、問題が起こるまではやりたい放題やろうという意味です」
ようやくAI利用のルールの整備が始まり、業界にも変化が現れると期待します。
弁護士はエルビス法の影響について…
テネシー州在住 好川仁弁護士
「(アメリカ)連邦議会でも2つか3つほど似たような法案も検討中なので、日本・ヨーロッパでも似たような法案があがってくる。影響するのではないか」
技術の進化を妨げずに表現者の権利を守るルールをどう作っていくのか、今後も取り組みが続きます。