トランプが嗤い、全米が呆れたバイデンの「老いぼれ」ぶり、だがより深刻なのは米政界の甚だしき老人支配

AI要約

米国と英国で行われた大統領選と総選挙において、年配候補達の討論や選挙の様子が注目を集めている。

専門家が指摘するように、米国政治には老人支配の問題が浮き彫りになっており、政治マシンの停滞や活力不足が問題視されている。

さらに、候補者の低調さや民主党の浮足立ちといった問題が指摘され、政治情勢が注目を集めている。

 (国際ジャーナリスト・木村正人)

 [ロンドン発]大西洋を挟んで二大政党制の米国で大統領選(11月5日)、英国で総選挙(7月4日)が行われている。米CNNの主催で6月27日に行われたジョー・バイデン大統領(81)とドナルド・トランプ前大統領(78)のTV討論に世界中の注目が集まった。

■ トランプ「彼自身、自分が何を言ったか分かっていない」

 2人は壇上に上がっても握手しなかった。トランプ氏は老いぼれバイデン氏が自滅するのを待つ作戦だったが、「彼があのセンテンスの最後に何を言ったのか本当に分からない。彼も自分が何を言ったか分かっていないと思う」と勝ち誇ったように言った。討論はトランプ氏の圧勝だ。

 英国の総選挙は最大野党・労働党のキア・スターマー党首(61)が倍以上の差をつけて保守党のリシ・スナク首相(44)を突き放す。保守党は壊滅的大敗が必至の情勢だ。同じ二大政党制でも2つの選挙を比べると、英国政治に比べて米国政治は老害が進んでいることが一目瞭然だ。

 中国共産党系「人民日報」傘下の「環球時報」英語版(6月27日)は「候補者の年齢が注目されたことは米国政治のジェロントクラシー(老人支配の政治)を浮き彫りにしている。自称・民主的政治システムの重大な欠陥を示すものでもある」という専門家の分析を紹介している。

■ 「米国の政治マシンの停滞、硬直化、活力の欠如の現れ」

 「ジェロントクラシーは米国政治の若返りが進まない問題を反映している。民主党にも共和党にも有能な人材がいるのは間違いないが、現在の政党文化では彼らが頭角を現すのは難しい。これは明らかに米国の政治マシンの停滞、硬直化、活力の欠如の現れだ」という。

 バイデン氏のあまりの低調さに、米紙ニューヨーク・タイムズ(6月27日)は「民主党は浮足立っている」と報じた。「バイデン氏の支離滅裂なパフォーマンスは民主党議員の間にパニックを引き起こし、彼が大統領候補になるべきかどうかの議論を再燃させた」

 共和党の「新世代のリーダー」と自らを売り込んだものの、大統領候補指名争いから3月に撤退したニッキー・ヘイリー元国連大使(52)はトランプ氏とバイデン氏を米映画『ラブリー・オールドメン』(原題はGrumpy Old Men=不機嫌な年老いた男たち)にたとえたことがある。

 気難しい年老いたライバル関係にある2人の男が何かにつけて衝突するドタバタのロマンティック・コメディだ。ヘイリー氏は高齢によるつまずき、トランプ氏とバイデン氏の精神的混乱を取り上げ、75歳以上の候補者のメンタル能力テストを呼びかけてきた。