プーチン氏、核中距離ミサイル配備に言及…INF失効後の自制方針を転換

AI要約

プーチン露大統領は、核兵器搭載可能な中・短距離ミサイルの生産再開と配備先検討の必要性を示し、米国のミサイル配備に対抗する考えを表明。

米露の中距離核戦力全廃条約失効後、プーチン氏は自制方針を転換し、ミサイル生産を開始する意向を示した。米国との軍拡競争懸念も高まっている。

米軍がフィリピンで中距離ミサイルを展開する中、中国へのけん制も狙いとされる。安保が懸念される状況下で各国の行動が注目を集めている。

 ロシア大統領府によると、プーチン露大統領は28日、核兵器搭載が可能な中・短距離ミサイルの生産を再開し、配備先を検討する必要があるとの考えを示した。欧州やアジアでミサイル配備を進める米国への対抗措置だと主張している。米国との中距離核戦力(INF)全廃条約が2019年に失効した後、自制してきた方針を転換する。米露が新たな軍拡競争に入る懸念が高まりそうだ。

 プーチン氏は、オンライン形式の安全保障会議で、「我々は19年、米国が世界のどこかに配備するまで、こうしたミサイルの生産や配備をしないと発表した」と語った。米国がミサイルの生産を始め、デンマークやフィリピンに配備しているとして対応する必要があると強調した。

 その上で、「(ロシアも)こうした攻撃システムの生産を開始し、安全保障に不可欠であれば配備を決定する必要がある」と語った。

 AP通信によると、米軍は今年4月、フィリピンでの演習で、地上発射型中距離ミサイルの発射装置を展開した。南西諸島や台湾などを射程に収めるミサイルの保有を急速に進めている中国へのけん制が狙いだとみられる。

 ◆中距離核戦力(INF)全廃条約=冷戦期の1987年に米国と旧ソ連が調印し、翌88年に発効した軍縮条約。射程500~5500キロ・メートルの地上発射型ミサイルについて、発効から3年以内の廃棄を義務づけ、将来の保有を禁じた。米国のトランプ前大統領が、ロシアによる条約違反などを理由に2018年10月に離脱を表明し、19年8月に条約は失効した。