【社説】朝ロ「戦略的パートナー」格上げ、尹政権の偏向外交のせいではないのか

AI要約

プーチン大統領が24年ぶりに北朝鮮を訪問し、戦略的パートナー関係を構築する文書に署名。

朝ロ関係の強化を図る背景として、韓国の外交失策が影響を及ぼしている。

朝ロ関係の格上げには慎重な対中、対ロ外交が必要。中国との次官級対話も実施。

 ロシアのプーチン大統領が19日、24年ぶりに北朝鮮を電撃訪問した。プーチン大統領は「新冷戦」の波がますます強まる中で行われた今回の訪問で、北朝鮮との関係を「戦略的パートナー関係」へと引き上げる文書に署名する。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は就任後、一貫して韓米日三角同盟に「全賭け」し、朝鮮半島情勢に大きな影響力を持つ中ロと対立してきた。このような「偏向外交」が結果的に朝ロ関係の発展に影響を及ぼしたのではないか。振り返ってみるべきだ。

 朝ロの官営メディアは17日、プーチン大統領が金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の招きで18~19日に北朝鮮を訪問すると発表した。ウクライナ戦争が3年目に入り、西欧とロシアの対立が極に達した状況で実現する、非常に重要な外交的動きだ。

 クレムリンのユーリ・ウシャコフ補佐官は17日、朝ロは「世界と地域の地政学的状況の深い変化を反映」する「戦略的パートナー条約」に署名すると明らかにした。プーチン大統領も18日付の「労働新聞」への寄稿で、北朝鮮と、西側に統制されない貿易および相互決済体制▽平等で不可分な安保構造▽高等教育機関同士の科学活動の活性化▽観光、文化、教育、青年、体育交流などの様々な分野での協力を実現するとの考えを表明した。朝ロ関係を韓国(戦略的パートナー)や中国(新時代の全面的、戦略的協力パートナー)と同水準の「包括的パートナー関係」にしようとの意志が読み取れる。

 残された焦眉の関心事は、両国が以前のような相互防衛条約を締結するかどうかだ。両国は冷戦期の1961年、どちらかの国が武力攻撃を受けた場合は「遅滞なくあらゆる手段を用いて軍事的およびその他の援助を提供する」との内容が盛り込まれた条約を結んだ。これは2000年に相互防衛義務を削除した「親善、善隣、協調に関する条約」に取って代わられた。

 しばらく疎遠だった朝ロが関係を急速に強化できた背景には、韓国の外交での失策があった。尹大統領が昨年4月にウクライナに武器を供給しうるという趣旨の発言をおこなった直後、ロシア外務省は「朝鮮半島に対する我々のアプローチに影響を及ぼしうる」と警告した。その後、ロシアは自らの言葉通り、韓国ではなく北朝鮮との関係を画期的に引き上げつつある。

 朝ロが関係の格上げを決断した以上、この流れを変えるのは容易ではない。今からでも慎重な対中、対ロ外交が必要だ。プーチン大統領が北朝鮮を訪問した日、政府は中国と次官級外交・安保対話をおこなった。遅れたが、評価できるものだ。

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