トランプ氏が党内「融和路線」への転換アピール…「壊れた老いぼれ」と批判してきた院内総務と握手

AI要約

トランプ前大統領が共和党議員との会合で党内結束をアピールし、返り咲きのために支持を固める姿勢を見せた。

議会占拠事件後初めて議会近くを訪れたトランプ氏は、マコネル氏やジョンソン氏との和解の兆しを見せた。

トランプ氏は党内支持の必要性を感じ、民主党との接戦に備え、党内の反トランプ派との対立を乗り越えようとしている。

 【ワシントン=田島大志】米共和党のトランプ前大統領は13日、ワシントンで同党の上下両院議員とそれぞれ会合を開き、11月の大統領選に向けた結束を訴えて党内での「融和路線」への転換をアピールした。自身の返り咲きのため、党内の掌握を強化したい考えだ。トランプ氏が議会近くを訪れたのは、2021年1月の米議会占拠事件後初めて。

 トランプ氏は上院議員との会合で、党内の「政敵」だった上院トップのミッチ・マコネル院内総務と握手し、言葉を交わした。下院議員との会合では、同党のマイク・ジョンソン下院議長の解任動議を出したマージョリー・テイラー・グリーン議員に「彼(ジョンソン氏)に優しくしてくれよ」とジョーク混じりに呼びかけた。

 党両院議員の大半が出席し、会合後、トランプ氏は「素晴らしい会合だった。我々は1000%、一致している。共和党には絶大な団結力がある」と強調した。

 議会占拠事件直後は、マコネル氏が「暴徒は大統領に扇動された」と述べるなど、党内に「トランプ離れ」が広がった。以来、トランプ氏もマコネル氏を「壊れた老いぼれ政治家」などと厳しく批判してきた。

 しかし、ここに来てトランプ氏が和解を演出したのは、党所属議員の全面支援がなければ、接戦が必至の民主党のバイデン大統領との再戦で勝利が見込めないとみているためだ。13日には党内の「反トランプ」急先鋒(せんぽう)メリーランド州のラリー・ホーガン前知事も上院議員候補として推薦する意向を米メディアで示した。

 一方、民主党はトランプ氏の訪問を利用し、議会占拠事件を有権者に想起させようとしている。バイデン氏陣営はこの日に合わせ、事件の映像とともに「トランプが民主主義を焼き払おうとしている」などと訴えるCMを発表した。党議員も「暴動の扇動者が犯行現場に戻ってきた」(ナンシー・ペロシ元下院議長)などと相次いで批判した。

 トランプ氏は、20年大統領選の結果を覆そうと手続きを妨害し、翌年の議会占拠につながった事件で起訴されているが、公判日程は決まっていない。