中国軍退役少佐が台北近郊河口にボートで侵入 「自由求め投降」供述、グレーゾーン作戦か

AI要約

中国籍の男が小型ボートで台湾の淡水河河口に侵入し、台湾海巡署に逮捕された。男は台湾海峡を渡ってきた退役中国海軍軍人で、自由を求める逃亡者の可能性もある。

男は福建省から密出港し、台湾に「投降した」と供述。海巡署は男の出自や動機を詳しく調査中。

海巡署は対応の問題から職員に処分を行ったが、淡水河河口には台北の官庁街が近く、有事に備えて台湾陸軍の防衛部隊が置かれている。

【台北=西見由章】台湾の海巡署(海上保安庁に相当)は11日までに、小型ボートで北部・新北市の淡水河河口に侵入した中国籍の男を入出国移民法違反などの容疑で逮捕したと発表した。台湾メディアによると、男は「自由」を求めて福建省から約260キロの台湾海峡を渡ってきたと説明。一方、台湾当局によると男は中国海軍の退役軍人で、台湾側の対応能力を探る「グレーゾーン作戦」の可能性もあるとみて背景を慎重に調べている。

淡水河の河口は総統府などがある台北の官庁街まで約22キロと近く、台湾陸軍は有事に備えて防衛部隊を置いている。

男は調べに対し、インターネット上で中国共産党に都合の悪い言論を発表した後に出国を制限されたため、8日に福建省寧徳市の漁港から密出港し、台湾に「投降した」と供述。一方、海巡署は11日、男が中国海軍少佐として「艇長」を務めた経歴があると明らかにした。

海巡署によると9日午前、沿岸約11キロで小型ボートを発見したが、台湾の漁船と誤解するなどして拿捕(だほ)しなかった。その後、ボートが埠頭(ふとう)に停泊した際に男を逮捕した。海巡署は対応に問題があったとして職員10人に戒告などの処分を行った。