世界がまだその「野望」の大きさに気づいていない中国BYDの世界戦略

AI要約

中国の電気自動車大手BYDは、世界進出計画を進めており、太陽電池モジュールから輸送システムまで様々な製品を展開している。BYDは中国市場でテスラと肩を並べるEVメーカーとして知られ、グリーンテクノロジー企業としても地位を確立している。

BYDの野望は自動車に留まらず、グリーンテクノロジーを網羅するメーカーとして世界進出を果たしている。リチウムイオン電池から複雑なAIやソフトウェアまで幅広い製品を展開し、エネルギーのエコシステム企業を目指している。

BYDは乗用車販売を越え、商用車の電動化やエネルギー貯蔵技術、太陽光発電など幅広い分野で活動しており、さらなる大きな野望を持つ企業として注目を集めている。

世界がまだその「野望」の大きさに気づいていない中国BYDの世界戦略

中国・電気自動車大手BYDの世界進出計画は、太陽電池モジュールから電動バス、電動トラック、電車、果ては複合的な輸送システムまで多岐にわたる。とはいえ、手を広げすぎではないだろうか、と英紙は指摘する。

BYD(比亜迪)本社は、広東省深圳市郊外の坪山区にある。六角形をした建物の堂々とした入口に到着すると、まず訪問者を迎えるのが巨大スクリーンだ。そこには聖書を引用した質問が表示されている。「人類を救ったノアの箱舟はどこにあるのか?」

答えは「ここ」だと言いたいようだ。なにしろ、驚異的な急成長を遂げ、世界中の自動車メーカーの幹部を震え上がらせている企業の入口の目立つところに表示されているのだから。

BYDと、その創業者である王伝福(58)には、自信を見せるだけの理由がある。BYDはいまや、イーロン・マスク率いる世界最強の電動自動車(EV)メーカー、テスラと肩を並べるまでに成長した。突出した規模を誇る中国の自動車市場では、同社の低価格バッテリーEV(バッテリー駆動のピュアEV)とプラグインハイブリッド車が、EV新車総販売台数のおよそ3分の1を占めているのだ。

とはいえ、BYDの野望は自動車にとどまらず、中国の国境をもはるかに越えたところを見据えている。世界中が化石燃料からの脱出を図るなか、BYDはグリーンテクノロジーを網羅するメーカーとしての地位を確立してきた。

BYDが手掛けるグリーンテクノロジーは、主要製品のリチウムイオン電池から、太陽電池モジュール、電動バスに電動トラック、電動鉄道車両、果ては輸送機関と発電システムを接続する複雑な人工知能(AI)ならびにソフトウェアまで、実にさまざまだ。

「BYDがさらなる大きな野望を抱き、エネルギーのエコシステム企業を目指していると気づいている人はあまりいないと思います」と話すのは、BYDに投資する深圳市のヘッジファンド、スノー・ブル・キャピタルで中国事業を統括するブリジット・マッカーシーだ。

乗用車販売はその第一歩にすぎないとマッカーシーは言う。「BYDは『われわれは商用車を電動化し、エネルギー貯蔵技術を提供し、発電できるよう太陽光発電も提供する』と言いたいのです」