全固体電池へ過剰に依存する日産は「危険な賭け」をしている

AI要約

日産が2028年までに全固体電池を量産する計画で世間を驚かせているが、技術的課題や競合他社の動きも注目されている。

全固体電池の技術はまだ黎明期にあり、安全性や耐久性に課題を抱えているとの指摘もある。

日本の自動車メーカーは全固体電池を次世代の電動車技術と位置付け、トヨタや日産などが研究開発を進めている。

全固体電池へ過剰に依存する日産は「危険な賭け」をしている

2028年までに全個体電池を量産すると発表している日産。しかし、日産は世界的な電気自動車の市場争いで後れを取っているうえ、世界で競争するための規模も不足していていて、危険な賭けにでていると英紙は指摘する。

日産は2028年までに全固体電池を量産すると明言している。その一方で、全固体電池の技術はまだ黎明期にあるとの声もあがる。日産の幹部は2024年4月半ばに、その全固体電池を製造する工場内で、懐疑論を唱える企業は過去にしがみついているだけだと反論した。

「電池メーカーはどこも、現在使われている液体電池でずっと儲けていきたいと考えているのです。すでに多額を投資していますから、CATLのみならず、電池メーカーはどこも、全固体電池にあまり前向きではありません」。その幹部は工場見学の最中にそう語った。

幹部がそのように言うのは、電気自動車(EV)の電池業界を支配する中国電池大手CATLの創業者で最高経営責任者(CEO)の ロビン・ゼン(曾毓群)が英「フィナンシャル・タイムズ」紙のインタビューで、これまで大きな話題となってきた全固体電池の技術は、充分に機能しておらず、耐久性に欠け、安全性の問題も抱えていると語ったからだ。

日本の自動車メーカーにとって、この批判は聞き捨てならないものだ。日本では、トヨタが先手を取って、全固体電池の研究開発が進められている。全固体電池は、現在の技術で使われている液体電解質を必要とせず、EVの航続距離を伸ばし、安全性を向上させる技術だ。そして、日本の自動車メーカーにとっては、難局を打開する救いの手となり、成長見通しを一変させる可能性を秘めている。

だからこそ、投資家や老舗の電池メーカーはタカのように目を鋭く光らせて、数年以内に実用化するという約束が本当に果たされるのかどうか、日本の企業を見守っているのだ。トヨタは早ければ2027年に、日産はその翌年2028年に、ホンダは10年以内の実用化を目指している。

日産の幹部は、CATL創業者の発言をめぐる質問に対し、まだ実験段階ではあるものの、固体電池の決定的要素の一部を解明したと述べた。電池内のイオン伝導性を高めるメカニズムを発見したので、充電時と放電時にリチウムが膨張するという、バッテリー寿命を縮める問題を最小限に抑え、安全性を高められるのだという。

日産はこのメカニズムの詳細を明らかにしておらず、幹部によればいまだ「トップシークレット」のようだ。しかし、実験室の条件下ではほぼ解決したという。注目に値する大きな節目になるとはいえ、それを実用化できるかどうかが、真に重要な唯一のテストとなるだろう。