【社説】汚物風船散布で拡声器再開…偶発衝突は管理すべき=韓国

AI要約

北朝鮮が3度目の汚物風船大量散布を行い、韓国政府が対北朝鮮拡声器放送を再開した。北朝鮮と韓国の緊張が高まる中、政府は局地挑発への備えと状況管理に取り組む必要がある。

北朝鮮が汚物風船散布を再開した背景には、韓国の民間団体による対北朝鮮ビラ散布への反発もある。軍事合意の停止などの措置を取る中、韓国政府は対北朝鮮拡声器放送を再開した。

対北朝鮮拡声器放送は非対称戦力と見なされ、北朝鮮の過激な反応を懸念する声もある。韓国は警戒態勢を維持しつつ、武力衝突の拡大を避けるために状況管理に注力している。

北朝鮮が3度目の汚物風船大量散布をしたことを受け、韓国政府が8年ぶりに対北朝鮮拡声器放送を再開した。北朝鮮の汚物風船散布再開と韓国側の対抗で南北の緊張はさらに高まるしかない。政府は北朝鮮の奇襲的な局地挑発に徹底的に備える一方、境界地域住民の安全の確保など状況管理にも積極的に取り組む必要がある。

韓国軍の合同参謀本部は昨日、北朝鮮が8、9日に汚物風船330個を南に散布し、我々の地域に約80個が落下したと発表した。北朝鮮の汚物風船散布は韓国側の民間団体による対北朝鮮ビラ散布に対する反発と解釈される。6日、自由北韓運動連合は京畿道抱川(ポチョン)からアドバルーン10個を利用して対北朝鮮ビラ20万枚と共にトロット音楽などを保存したUSBメモリーなどを発送したと明らかにした。この団体は先月10日にもビラ30万枚とK-POPが入ったUSBなどを送った。民間団体の行動に対して軍を組織的に動員して汚物風船を散布した北朝鮮の形態は非難されて当然だ。国際社会が批判するほど低級な挑発だ。10キロを超える汚物風船が落下して車両が破損する被害まで発生させた北朝鮮の挑発は、韓国国民に不快感と不安感を与えている。

結局、韓国政府は昨日、張虎鎮(チャン・ホジン)国家安保室長が開いた緊急国家安全保障会議(NSC)常任委員会議で対北朝鮮拡声器の設置と放送再開を決めた。これに先立ち北朝鮮の2回の汚物風船散布後の4日の国務会議で9・19軍事合意全体効力を停止し、政府が言及した「北が耐えがたい措置」カードを取り出した。2018年4月の「板門店(パンムンジョム)宣言」直後に対北朝鮮拡声器放送装備を撤去してから約6年ぶりだ。

対北朝鮮拡声器放送は北朝鮮軍が極度に敏感に反応する「非対称戦力」に分類される。実際、北朝鮮は2015年8月、対北朝鮮拡声器が設置された京畿道漣川(キョンギド・ヨンチョン)の第28師団近隣の山に砲撃を加え、韓国軍が対応砲撃した事例がある。したがって拡声器放送が始まれば北朝鮮が軍事境界線(MDL)や北方限界線(NLL)付近で奇襲的な局地挑発を敢行するという懸念もある。

北朝鮮の3回目の汚物散布を受け、韓国の陸・海・空全部隊が休日に非常勤務体制を稼働した。万が一の事態に備えて徹底的な警戒態勢を維持するのはもちろんだ。今月1日、北朝鮮の2回目の汚物風船散布が予想された時点に最前方第1師団長が部下らと飲酒会食をした事実が明らかになり、職務排除された。こうした規律弛緩が繰り返されてはいけない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は今日から15日までトルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタンを訪問する。軍統帥権者が席を外しても安全保障には一寸の隙もあってはならない。北朝鮮の挑発に適切な対応は避けられないが、偶発的な武力衝突に拡大しないように状況管理にも留意する必要がある。