IAEA「北朝鮮の秘密核施設、ウラン濃縮施設の別館が完工段階に」

AI要約

IAEAは、北朝鮮の降仙にある核施設で、ウラン濃縮施設と類似した核関連基盤の拡張施設が完成段階に入ったと判断した。

降仙団地は秘密核施設がある場所として疑われており、IAEAは懸念を示している。

専門家は、増築された降仙核団地の建物が核物質増産のための施設である可能性が高いと見ている。

 国際原子力機関(IAEA)は、北朝鮮の降仙(カンソン)にある核施設で、寧辺(ヨンビョン)のウラン濃縮施設と類似した核関連基盤の拡張施設が完工段階に入ったものとみられると判断した。専門家らは「より多くの遠心分離機を設置し組み立てる空間がさらに必要だった可能性がある」とみている。

 IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は3日(現地時間)、オーストリアのウィーンで開かれた定期理事会の冒頭発言で「2月末に降仙団地の別館の工事が始まり、その後に使用可能な面積が大きく拡張された」とし、「現在、別館は外部的には竣工した状態」だと明らかにした。

 平壌(ピョンヤン)郊外の降仙団地は、長いあいだ北朝鮮の秘密核施設があると疑われてきた。米国の情報当局も、北朝鮮が平安北道寧辺の核施設だけでなく、降仙に核弾頭製造用ウラン濃縮核物質を生産する施設があると推定してきた。実際、グロッシ事務局長は2022年9月にも「平壌近隣の降仙核団地や平山(ピョンサン)のウラン鉱山と精錬施設などでも、ある種の動きが捉えられた」と発表している。その1カ月後には、秘密ウラン濃縮施設と疑われる降仙の龍徳洞(ヨンドクドン)団地で、核関連の活動と疑われる車両が観察されている。

 この日、グロッシ事務局長はこの件に対して「降仙団地は寧辺の遠心分離機による濃縮施設とインフラの特性を共有している」と懸念を示したうえで、「これは国連安全保障理事会決議に反する行為であり、深刻な懸念の原因になりうる」と指摘した。

 また、豊渓里(プンゲリ)の核実験場には変化の兆候はないが、新しい核実験を進めるために今も準備中のようだというのがIAEAの分析だ。グロッシ事務局長は、寧辺の核施設に関しても「IAEAは寧辺の軽水炉冷却システムから温水が排出されるのを観察した」とし、「軽水炉(LWR)が稼動する際に出るものと一致する」と述べた。さらに「2023年8月の理事会と総会にこれらの内容を報告して以来、北朝鮮の核プログラムを継続してモニタリングしている」とし、「寧辺の敷地では5MW級原子炉と遠心分離機による濃縮施設、その付属施設の稼動の兆候も続けて捉えられるなど、異なる活動が続いている」と懸念を示した。これに先立ち、グロッシ事務局長は昨年12月に発表した「北朝鮮核計画の最近の動向に関する声明」でも同様の内容を公開している。

 専門家らは、今回増築された降仙核団地の別館の建物が、核物質増産のためのウラン濃縮施設の一つである可能性があるとみている。米国際放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)は、元IAEA事務次長である米スティムソンセンターのオリ・ハイノネン特別研究員の話を引用し、「数年前に寧辺の核施設に遠心分離機を追加で設置するための小さな穴が作られたのを目撃した。これは明らかに施設拡張だった」とし、「降仙の核施設も寧辺と類似した動きを見せている」と説明した。ハイノネン研究員はまた、「北朝鮮は遠心分離機をさらに多く設置し組み立てられる空間を確保するために、より多くの空間を必要とした可能性が高い」とし、「衛星写真では内部を識別することができないため、建物の正確な用途は現場訪問による確認があるまでは断定できない側面もある」と補足した。同放送で、米国の核専門家である科学国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト所長も「降仙を遠心分離機の稼動施設と考える理由の一つは、北朝鮮内の多くの軍事施設や産業施設では珍しく非常に安定的で良い電力供給が可能なため」と述べた。

 これについてグロッシ事務局長は「北朝鮮は国連安保理決議による義務を完全に順守し、NPTに沿った安全措置協定の完全かつ効果的な履行のためにIAEAと協力しなければならない」とし「IAEA査察団が北朝鮮に不在の間に発生したすべての問題を解決しなければならない」と述べた。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)