イーロン・マスク氏、トランスジェンダーの自身の子どもは「死んだ」と主張する

AI要約

イーロン・マスク氏が20歳のトランスジェンダーの子どもについて嫌悪の発言を行い、性別適合の治療を批判していることが明らかになった。

マスク氏の発言を受け、トランスジェンダーやLGBTQの若者にとっての心理的影響や治療の重要性が再び論議されている。

この件に関連して、GLAADやX社などがマスク氏や関連者の行為に強く反対しており、社会的影響力の大きさが問題視されている。

イーロン・マスク氏、トランスジェンダーの自身の子どもは「死んだ」と主張する

※ 編注:記事にはトランスジェンダー嫌悪の発言が含まれます

スペースXやテスラCEOのイーロン・マスク氏が、20歳になる自身のトランスジェンダーの子どもについて「死んだ」と発言した。

マスク氏の子どもの一人であるビビアン・ジェナ・ウィルソン氏はトランスジェンダー女性で、2022年に法的な名前を変更した。

マスク氏は7月22日に出演したジョーダン・ピーターソン氏のポッドキャストでウィルソン氏について語り、ミスジェンダリング(本人の自認とは異なる性別で扱うこと)やデッドネーミング(変更する前の名前を本人の合意なく使うこと)を繰り返した。

さらに、ウィルソン氏の性別適合の治療にサインしたことについて「騙された 」と主張している。

「それは何が起きているかを私が理解する前だった上に、新型コロナ感染症の真っ最中だったので、色々と混乱していました。ザビエルが自殺するかもしれないと言われました」

マスク氏は「思春期ブロッカー(二次性徴抑制ホルモン療法)が、実際は避妊治療薬だと説明されなかった」とも主張。

「実質的に、私は息子を失ったことになる。デッドネームと呼ばれるのには理由があるんだ。それは息子が死んだからだ」と述べた。

マスク氏は思春期ブロッカーは避妊のための薬だと主張しているが、間違いだ。

メイヨークリニックは、思春期ブロッカーとして使われる「GnRHアナログ」について、次のように説明している。

「身体を永久に変えるわけではなく、思春期を一時的に停止するものです。自身の性自認を探く考えるための機会を提供し、若者と家族に、心理面、医療面、発達面、社会面、法的な面での問題に備え、計画を立てるための時間を与えます」

ツイッター社(現在はX社)はマスク氏が買収する前は、デッドネームの使用をハラスメントとみなし禁止していた。この規定はマスク氏の買収後に削除されたものの、広告収入が大幅に減少した後、2024年3月に復活している。

しかし、マスク氏自身はポッドキャストで何度もウィルソンさんのデッドネームを使用した上に、「息子は死んだ。ウォーク・マインド・ウイルスに殺されたんだ」と述べている。

「ウォーク」とは社会問題などに高い意識を持つ人々を揶揄した言葉だ。マスク氏はウォーク・マインド・ウイルスという言葉を使って、そういった人々らを批判してきた。

マスク氏はウィルソン氏は「殺された」と言っているが、実際には亡くなっていない。それにもかからわず、ポッドキャスト司会者のピーターソン氏は、お悔やみを伝えている。

ジョーダン・ピーターソン氏LGBTQの若者は親からの拒絶や社会のスティグマが原因で、自殺する割合が高いことが調査からわかっている。

しかしピーターソン氏は、自殺率が高いのだとすれば「うつ病」が原因で、性別適合のための治療が子どもたちを「破壊」していると主張。マスク氏もトランスジェンダー当事者のための治療を「悪」だと述べている。

一方、アメリカ心理学会は、トランスジェンダーやノンバイナリーの子どもや若者、大人らが性別適合のための治療を受けることを肯定しており、治療を阻めば、うつ病や不安、その他メンタルヘルス面での悪影響のリスクにさらされるとしている。

ピーターソン氏はカナダの心理学者で、トランスジェンダー嫌悪の発言が問題になった後に教授として勤めていた大学を辞めた。現在は保守系メディアのデイリー・ワイヤーとのコンテンツ配信契約を結んでいる。

米LGBTQ団体のGLAADは2023年12月、反LGBTQの投稿や発言を繰り返すマスク氏を「ヘイトに突き動かされた極右の過激派」だと批判した。

また、同団体はピーターソン氏が2022年にYouTubeに投稿した動画で、俳優でトランスジェンダー当事者のエリオット・ペイジ氏に対しミスジェンダリングやデッドネーミングをしたことも問題視。

マスク氏が買収して以来、Xではピーターソン氏のような「極右思想家」がトランスジェンダー当事者への攻撃を続けていると述べている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。