韓国が南北軍事合意停止へ…北の「汚物風船」1000個に、挑発行為に対抗

AI要約

韓国大統領府が、北朝鮮との軍事合意の効力を全面停止することを発表した。北朝鮮の挑発行為に対抗するための措置である。

南北軍事合意は、昨年11月に北朝鮮が一方的に破棄宣言し、韓国軍だけが合意に縛られる状況だった。大統領府は合意が現実的な問題を引き起こしていると指摘。

北朝鮮が最近、韓国にゴミを飛ばすなどの挑発行為を続けており、合意の停止理由として挙げられている。

 【ソウル=中川孝之】韓国大統領府は3日、北朝鮮との偶発的な衝突などを防ぐために2018年9月に結んだ「南北軍事合意」の効力を、互いの信頼が回復するまで全面的に停止すると発表した。北朝鮮が続ける挑発行為への対抗措置だ。

 4日の国務会議(閣議)で正式決定する。北朝鮮が反発し、挑発行為を加速させる可能性がある。

 合意は北朝鮮に融和的な左派の文在寅(ムンジェイン)前政権下で署名された。南北軍事境界線付近での軍事訓練などを禁じた。北朝鮮は昨年11月に事実上の破棄を一方的に宣言しており、韓国軍だけ合意に縛られているとの指摘が出ていた。大統領府は「有名無実化した軍事合意が、韓国軍の準備態勢に多くの問題を引き起こしている」と強調した。

 大統領府は、北朝鮮の挑発行為が「韓国国民に現実的な被害と脅威を与えている」ことを合意の停止理由に挙げた。北朝鮮が5月下旬以降、ゴミをくくりつけて韓国に飛ばしてきた風船が計約1000個に達したほか、朝鮮半島西側の黄海で全地球測位システム(GPS)の妨害電波を発信し、韓国社会に混乱が生じた。