85年前に借りた本返却 フィンランドの図書館、古すぎて延滞料免除

AI要約

フィンランドの首都ヘルシンキの図書館で、85年ぶりに返却された本が紹介された。

返却されたのはアーサー・コナン・ドイルの作品「亡命者」で、貸出期限は1939年までだった。

本の返却が遅れた理由は第二次世界大戦の影響がある可能性があり、現在も貸し出しの検討が行われている。

85年前に借りた本返却 フィンランドの図書館、古すぎて延滞料免除

 フィンランドの首都ヘルシンキの図書館で、貸し出されていた本が約85年ぶりに返却された。フィンランド放送協会(YLE)などが伝えた。

 ヘルシンキ市の「中央図書館」に5月27日に返却されたのは、名探偵シャーロック・ホームズの作者アーサー・コナン・ドイルの「亡命者」(1893年)。歴史小説で、ホームズ物語ではない。

 貸出期限は「1939年12月26日」で、返却した人と借りた人の関係については図書館員も聞かなかったが、図書館の担当者は「亡くなった家族らの遺品整理中に見つかるケースが多い」と説明している。

 同図書館では本の返却の延滞に対する罰金は最大6ユーロ(約1000円)だが、この本は古すぎて現在の図書館のシステムに登録されていなかったため、罰金は科されないという。

 返却が遅れた理由として、39年11月に当時のソ連(ロシア)がフィンランドに侵攻を開始したことから、担当者は「戦争が始まり、本の返却どころではなくなった可能性がある」と述べている。

 この本は20年代の刊行だが、保存状態が良いため再び貸し出すことも検討しているという。【ロンドン篠田航一】