北朝鮮が「汚物風船」の暫定的中止を発表、720個飛来した韓国の「報復措置着手」を受けて対応

AI要約
北朝鮮がゴミを入れた風船を飛ばし、韓国社会に混乱を引き起こす狙いとみられる脱北者団体が反体制ビラを飛ばしていたことへの対抗措置として北朝鮮は風船飛ばしを続けた場合、ゴミの「集中散布」を再開すると脅迫

 【ソウル=中川孝之】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は1日夜以降、ゴミをつり下げた約720個の風船を飛ばし、ソウルなどに落下させた。韓国社会に混乱を引き起こす狙いとみられる。北朝鮮国防省は2日夜、朝鮮中央通信を通じ、「国境を越えてゴミを散布する行為を暫定的に中止する」との談話を発表した。

 風船につり下げたビニール袋に紙くずや布きれ、たばこの吸い殻のほか、堆肥(たいひ)のようなものが詰まっていた。韓国では「汚物風船」と呼ばれている。

 北朝鮮は5月27日に軍事偵察衛星の打ち上げに失敗し、28~29日に約260個の同様の風船を飛ばした。韓国の脱北者らの団体が、金正恩(キムジョンウン)政権の反体制ビラを北朝鮮側に風船で飛ばしていることへの対抗措置だとしていた。

 北朝鮮国防省の談話は、韓国側が反体制ビラを再び飛ばせば、ゴミの「集中散布」を再開するとした。

 北朝鮮は2日、朝鮮半島西側の黄海で全地球測位システム(GPS)の妨害電波を発信した。5月29日から5日連続で、韓国漁船などの航行に影響が出ている。

 この談話に先立ち、韓国大統領府の張虎鎮(チャンホジン)国家安保室長は記者会見を行い、風船を飛ばす行為などは「正常な国家としては想像できない非常識的な挑発」だと批判。「北朝鮮が耐えがたい措置に着手する」と明らかにしていた。