プーチン大統領のお騒がせ次女、アフリカへの影響力拡大に一役か…IT伝授プロジェクトを指揮

AI要約

ロシアがアフリカ各国政府のIT戦略に関与し、ITの専門知識を伝授するプロジェクトを始動した。指揮を執るのはプーチン露大統領の次女だ。アフリカ諸国に対するロシアの影響力拡大のため、「大統領の娘」が一役買っている可能性がある。

アフリカなどからIT関係者を集めた会議が行われ、カテリーナ・チホノワ氏がIT分野の強化がアフリカ諸国の独立や主権の強化につながると主張。また、ロシアのIT業界や投資家も関与しており、IT関連のインフラへの参入意図も示唆された。

ロシアはアフリカとの関係強化を図り、軍事支援やエネルギー分野での協力を進めている。また、無人機製造企業の大株主になるなど、アフリカでの影響力を拡大しており、米政府による制裁措置も受けている。さらに、アフリカ各国の選挙に介入し、情報機関の設置や現地拠点の構築も行っている。

 【ヨハネスブルク=笹子美奈子】ロシアがアフリカ各国政府のIT戦略に関与し、ITの専門知識を伝授するプロジェクトを始動した。指揮を執るのはプーチン露大統領の次女だ。アフリカ諸国に対するロシアの影響力拡大のため、「大統領の娘」が一役買っている可能性がある。

 「今日の議題は、ロシアの国家安全保障戦略とも沿うものだ」

 モスクワで昨年12月、アフリカなどからIT関係者を集めた会議が行われた。主催した団体によると、団体事務局長のカテリーナ・チホノワ氏(37)は、IT分野の強化がかつて植民地支配を受けたアフリカ諸国の独立や主権の強化につながると強調した。

 プーチン氏は家族について多くを語らないが、ロイター通信などによると、チホノワ氏はプーチン氏の次女だ。会議ではアフリカ諸国の閣僚や政府関係者らを対象にサイバーセキュリティーなどの研修への参加も呼びかけた。ロシアのIT業界や投資家も出席しており、IT関連のインフラに参入する意図もうかがえた。

 ブルームバーグ通信によると、ロシアは昨年7月、IT産業が未熟なアフリカなどを対象にITの専門知識を共有する国家プロジェクトを発足させた。そのプロジェクトを請け負ったのが、チホノワ氏が事務局長を務める団体だった。

 ウクライナ侵略を続けるロシアは米欧に対抗する観点から、軍事支援やエネルギー分野での協力をてこにアフリカ諸国との関係強化に取り組んできた。政情が不安定な国に民間軍事会社が入り込み、天然資源の権益を拡大するなどしてきた。

 露メディアによると、この団体は2023年、ロシアの無人機製造最大手の大株主になった。米政府は22年、露軍事産業を支援しているとしてチホノワ氏を制裁対象に指定している。

 米政府は今年2月、ロシアが感染症について、偽情報を流していると警告した。アフリカでは今年、約20の国政選挙が予定されており、選挙結果がロシアに有利になるよう画策している可能性がある。ロシアはアフリカに特化した情報機関をすでに設置し、クーデター政権のマリ、ブルキナファソには現地に拠点も築いたという。

 チホノワ氏は派手な振る舞いで時々メディアを騒がせてきた。事実婚のパートナーで元バレエダンサーのイーゴリ・ゼレンスキー氏に会うため政府のチャーター機で何度もドイツに行ったとの報道もある。イーゴリ氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は親類ではないという。