カタルーニャGPに続き新エアロで走行のヤマハ。リンス、プラクティス2番手の要因は/MotoGP第7戦イタリアGP

AI要約

フランセスコ・バニャイアから0.273秒差で2番手に付けたアレックス・リンスに期待がかかる。

ヤマハが新しい空力デバイスを導入し、リンスがプラクティスで好タイムを記録している。

ファビオ・クアルタラロも改善されたマシンについて言及し、今後の改善に期待を寄せている。

カタルーニャGPに続き新エアロで走行のヤマハ。リンス、プラクティス2番手の要因は/MotoGP第7戦イタリアGP

 イタリアGPのプラクティスは、アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)の名が2番手に並んだ。トップのフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)から0.273秒差である。

 もちろん、この結果はまだ予選でも決勝レースでもなく、予選のQ1とQ2を分けるセッション「プラクティス」だ。とはいえ、ヤマハのこれまでの苦戦とリンスの2番手というポジションを考えれば、「ヤマハに改善の兆しあり」と言えるのかどうか。それが気になるところだ。

 ヤマハはカタルーニャGPから新しい空力デバイスを投入している。これは、フランスGP後にムジェロ・サーキットで行ったプライベートテストで試されたものだ。

 リンスは「午前中からいい仕事をしていると思う。すでにモンメロで、1周のラップタイムは速かったんだ。でも、ここではユーズドタイヤでとても強く走れると感じているよ」と、2番手の理由を説明した。2番手タイムを叩き出したラップでは少しのミスがあったというから、大幅にとまではいかないまでも、まだタイムが詰まる可能性があったということだ。

「このサーキットにはかなりの高速コーナーがある。アラビアータ1、2(8、9コーナー)、そして最終コーナーのような、ね。新しい空力デバイスのおかげで、このサーキットではそういう高速コーナーで少しばかりスピードを乗せることができるんだ。でも、まだトップでフィニッシュするには遠い場所にいる。作業を続けていかないとね」

 もちろん、まだ改善すべき点はある。リンスによれば、「切り返しで、バイクがとても重いと感じるんだ。テストでもそういうフィーリングがあったんだけどね」ということだ。

「テストでは1分45秒9を出していた。今日のほうが0.7秒くらい速かったんだ(1分45秒211)。どんどん速くなって、なにもかもがますます難しくなっている。僕はすでに、テストで、バイクの俊敏性について苦言を呈した」

 一方、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)も、Q2ダイレクト進出を逃したとはいえ、プラクティスで11番手だった。10番手のアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)からはわずか0.019秒差。2番手のチームメイト、リンスとの差も0.269秒で、果てしなく大きなギャップというわけではなかった。

 クアルタラロは長いストレートと高速コーナーでのスリップストリームを生かすために先行するライダーが必要だったが、単独で走る羽目になったという。「がっかりしている」と語っていることから、状況次第では10番手以内に入れると考えていたのだろう。

 そのクアルタラロは、新しい空力デバイスについて「フィジカル面の負担がかなり減った」と語った。そして、マシンの改善を認めている。

「重量はさほど軽くはなっていないけど、走りははっきりと改善している。僕たちはいい仕事をしていると思う。特に、純粋なパフォーマンスではなく、バイクを楽に走らせられるようになった、という意味でね。たぶん、あと2カ月したら、もう少し改善できるだろうと思う」

「あと2カ月」と具体的に言及するあたり、方向性や改善の状況が明確に見えているのだろうと窺える。

 フランスGP決勝レースでは、クアルタラロは6番手までポジションを上げた。最終的に限界を超えて転倒リタイアとなったが、「いい走りができた」と前向きだった。マシンに加えた大きな変更が、その一因だったという。

 カタルーニャGPでも、ヤマハがパフォーマンスを発揮するのに苦戦する路面グリップが悪いサーキットにもかかわらず、リンスがQ2に進出していた。Q2で8番手を獲得したリンスのタイムは、2023年のオールタイムラップ・レコードとほとんど変わらなかった。

 確かに、ヤマハがさしかかっているのは上り坂かもしれない、という様子はあった。そして、今回のイタリアGPである。今のヤマハの状況を証明するには、その結果が必要だ。

[オートスポーツweb 2024年06月01日]