【高校野球】焼津水産が1勝を釣り上げる 海洋実習と両立だ…全国高校野球選手権静岡県大会7月6日初戦~話題校紹介

AI要約

焼津水産は、県唯一の水産高校ならではの試練を乗り越え、まず1勝をもぎ取る。チーム内で主力3選手が海洋実習のため不在となるが、チームは団結して大会に向けて準備する。

不在となる主力選手たちが内野守備に欠かせない選手であることから、チームは内外野の連携を強化し、自己成長を目指す。主将を含む残るメンバーも勝利に向けて意気込む。

海上生活での体力トレーニングを通して、主将は前回の船上練習での反省点を活かし、細部までの調整を重視して最後の夏に備える。

【高校野球】焼津水産が1勝を釣り上げる 海洋実習と両立だ…全国高校野球選手権静岡県大会7月6日初戦~話題校紹介

 焼津水産は、県唯一の水産高校ならではの試練を乗り越え、まず1勝をもぎ取る。早ければ7月6日に大会初戦となるが、チームではその前日まで主力3選手が約1か月にわたる海洋実習に出る。不在期間から大会開幕に向けて、チーム一丸となって挑む。

 焼津水産の内野守備に欠かせない3人が、大会直前まで不在となる。離脱するのは海洋科学科の主将・青山智哉遊撃手、古川翼捕手、神保孝敬一塁手(いずれも3年)。同学科の一部の学生は2年生後期から2度、約1か月の海洋実習参加が必要とされる。ワッチ(船での見張り)やビンナガマグロ、カツオ釣りを体験する。今回は6月6日から7月5日まで三陸沖で航海を行う予定だ。

 学業上の理由だけにチームメートは折り込み済み。4番の鈴木琉生(るい)外野手(3年)は「不安だが、彼らがいない時は2年生が守備につく。帰ってきた時に(メンバーに)『入れるのか』と思わせるぐらいに自分たちを高めたい」。春の県予選・城南静岡戦(11●12)で2本塁打を放ち、高校通算5本となった主軸は頼もしさを見せた。また、鈴木らと外野を守る田辺蒼悟(3年)は「航海に行く3人は内野守備につく選手。だったら、外野トリオで声を出して盛り上げるだけ」と責任感を強くしていた。

 一方で「1番・遊撃」の青山主将は、陸に残るメンバーの奮起に負けん気を見せた。「夏は一つでも多く試合に勝って、一日でも長く野球をやりたい」。昨秋の経験を“ぶっつけ本番”となる夏に生かす。

 昨秋は船酔いもあって36日間の航海で体重が4キロ減った中、下船後に練習試合に参加。「久しぶりにボールを投げたら肘が痛くなった」。船上の練習での意識は変わった。「前回もバットなどを持ち込み、振り込んだり筋トレをしていたが、海上生活をするとすぐ体がついてこない。足りない部分が分かった」。腹筋や背筋、腕の筋力トレーニングに加え、腰周りや手首を強くするなど細部にわたった調整で、最後の夏へ仕上げていく。(伊藤 明日香)

 ◆海洋実習メモ 焼津水産では他に栽培漁業科、食品科学科、流通情報科の合計4学科を設置。海洋科学科は「海・船・マリンテクノロジーのスペシャリスト」育成を目的に、2年次から漁業や大型船の運航技術を学ぶ「航海類型」、大型船舶機関の運転整備技術を学ぶ「機関類型」など4類型に分かれる。「航海類型」と「機関類型」を選択した学生が5級海技士の資格取得のため、長期学習に参加。昨年大会は7月8日の御殿場南戦(4●6)が初戦で、その約1か月前に実習を終えていた。