国立凱旋ツアーに充実感にじませた久保建英、東京Vの奮闘に「みんな体力がすごいなと」「代表でも学んでいけたら」

AI要約

ソシエダとの国際親善試合で、久保建英が48分間プレーし、良い姿を見せた。

久保はポジションでも積極的であり、チームはポゼッション戦術で勝利を収めた。

久保は東京Vの激しいプレスを称賛し、ウルコや他選手の成長も期待を示した。

国立凱旋ツアーに充実感にじませた久保建英、東京Vの奮闘に「みんな体力がすごいなと」「代表でも学んでいけたら」

[5.29 国際親善試合 ソシエダ 2-0 東京V 国立]

 初めての国立競技場でのプレーは48分間にとどまったものの、在籍2シーズン目を迎えたソシエダとの凱旋ツアーは充実したものになったようだ。試合後、報道陣の取材に応じたMF久保建英は「チームメートの旅の疲れなど不安もあったけど、いつもやっている自分たちのサッカーをお客さんに見せられたと思う」と満足そうに振り返った。

 久保にとってはスペイン移籍後初の日本ツアー。25日にラ・リーガ最終節のアトレティコ・マドリー戦でフル出場したばかりとあり、コンディションは十分でない中の一戦だったはずだが、右ウイングのポジションで積極的な姿勢を見せた。

「ワンプレー、ワンプレーにあれだけ盛り上がってくれるとすごくうれしい気持ちになる」。久保のスルーパスやカットインを見せると、4万人が集まった国立競技場は大きな歓声に包まれ、そのムードに呼応した久保は前半41分、股抜きのドリブルも披露した。公式中継のハーフタイムインタビューでは解説を務めたDF菅原由勢に「ブライス選手とどっちが先に股抜きをするかと話していた」と明かしており、お祭りムードを積極的に盛り立てていた。

 また前日の取材対応で「チームとしてボールを保持して試合を支配していくスタイルで、いつもどおりのサッカーをできればみんな喜んでくれるんじゃないかと思う」と意気込んでいたとおり、チーム全体も徹底的なポゼッション戦術を披露。東京Vの激しいプレッシングに対し、MFブライス・メンデスや久保の技術が際立つ展開に持ち込んだ。

 久保自身は今季を通じてケアし続けていた右太もも裏の違和感のため、後半3分に交代。それでもチームは育成組織出身の選手も含め、20人全員がピッチに送り出された上で、2-0での勝利を飾った。

「なんだかんだ親善試合とはいえ、負けたらみんなもソシエダってこんなもんかと思われたらあれですし、勝てたのはよかった。僕的には何回か連係連動というところで、ちゃんと練習のセオリーどおりに崩しができたので、どんな相手とやっても崩すことができるんだよというのがみんなも自信になったと思う」

 続けて久保はこの一戦を通じ、激しいプレッシングを見せ続けた東京Vへの敬意も口にした。

「僕らが何回プレスをかいくぐっても、次のGKとかCBにプレスが来るのは徹底されているなと思った。城福さんのサッカーが徹底されているなと。みんな体力がすごいなと思いますね。あと僕と一緒で細かくちょこちょこやるタイプの選手が何人かいて、前半15分くらいに『やりづらいね』と話していた(ソシエダの)選手が何人かいた」

 スペインでの戦いと比較しながら「(スペインでは)だいたい僕らが3回くらいプレスをかいくぐると大体のチームが後ろでブロックを敷くけど、一生プレスに来たので、そのメンタルは僕らも見習わないといけないなと思った」とも振り返った久保。「あれが日本の良さだと思うので、どんなチームにもああやって戦っていけば勝機がある。代表でもああいったところを学んでいけたらと思う」と称賛しきりだった。

 加えて、久保が今回の日本ツアーに向けて「イチオシの選手」として挙げていたMFウルコ・ゴンサレス・デ・サラテも存在感を発揮。187cmの長身を誇る23歳のMFはラ・リーガでこそ出場機会は多くないが、この日はアンカーの位置で攻撃の組み立てを担いつつ、前半アディショナルタイムに先制点のミドルシュートも決めるなど、日本のファンに大きなアピールとなった。

 久保は「僕がああやってウルコがいい、ウルコがいいって言っていたので彼にはちょっとプレッシャーを与えてしまったかもしれないけど、いいプレーがたくさんあったと思うので、見せてくれて僕としてはすごく嬉しい。彼としても自信につながると思う」と笑みを見せつつ、絶対的主軸のMFマルティン・スビメンディ、今季出場時間を伸ばしたMFベニャト・トゥリエンテスの名前を挙げて来季に期待を示した。

「去年もトゥリエンテス選手が最初は自信なさげにプレーしていたけど、今じゃチームの主力の一人。プレーすること、そこでの成功体験は自信につながると思う。これはサッカーに限らずですけど。彼であり、トゥリエンテスであり、スビメンディであり、あそこのボランチの底の選手がこのチームで一番うまいと思うので、彼らは来季、僕たちが躍進するためのキーになってくると思う。彼らには感謝しつつ、もっと彼らには求めていければと思う」。久保自身にとっても、チームにとっても、実りある日本ツアーになったようだ。