プロ野球選手会は本当にNPBや12球団を独禁法違反で訴えるのか 23日に札幌で総会 鬼筆のスポ魂

AI要約

日本プロ野球選手会が公正取引委員会に訴える意向を示し、保留制度やFA権取得期間の短縮を求める論争が続いている。

選手会は保留制度が独占禁止法に違反していると主張し、選手の移籍を制限している現状を問題視している。

選手会の訴えは選手と経営者との関係を根本的に見直す転換点となり、総会での決定を実施するかが焦点となっている。

プロ野球選手会は本当にNPBや12球団を独禁法違反で訴えるのか 23日に札幌で総会 鬼筆のスポ魂

日本プロ野球選手会(広島・会沢翼会長)は本当に日本野球機構(NPB)や12球団経営者側を公正取引委員会に訴える気はあるのだろうか。選手の移籍を禁じる保留制度が独占禁止法違反に当たるとし、選手会総会が「訴える」と決議して半年以上が経過した状況下、23日に札幌市内で行われる次回総会は、1950(昭和25)年の2リーグ分立以降のプロ野球の歴史で、経営者と選手との立場を根本的に見つめ直す大きな転換点となる可能性がある。

■FA権取得期間の短縮を要求

選手会がNPBや12球団経営者側と事実上、〝決裂〟したのは昨年12月7日に大阪市内で行われた通常総会の席だった。選手会側は「プロ野球はドラフト制度があるため、入団する球団が自分の意思ではないところで決まる。さらに選手側はより待遇のいい球団に移籍したくても制度上の制限が厳しすぎる」として、フリーエージェント(FA)権の取得期間について一律6年(高校、大学・社会人からの入団や国内外FAを問わず)への短縮を求めた。

しかし、経営者側は選手会の要求を拒否。特に海外FAについて現行の9年からの大幅な短縮は、主力選手のさらなる大リーグ移籍を加速させることから断固応じない構えで、国内FAに限って現行制度(大学・社会人出身は7年、高校出身は8年)からの1年短縮を、1シーズン145日以上の1軍登録期間を170日以上に増やすとの条件付きで認める考えを示した。

両者の主張が平行線をたどる中で、選手会側は移籍を禁止する保留制度自体に問題があると指摘した。保留制度とはプロ野球独自の制度で、統一契約書を交わすと球団側が保留権を持ち続けて選手は自分の意思で移籍できない-と野球協約で規定されている。

■「ゼロベースから」

会沢会長が昨年12月7日の総会後の会見で「ゼロベースからの話し合い」を強調した裏には、FA権の取得期間の攻防から、選手会が保留制度にこそ〝諸悪の根源〟がある…と断じた事情があった。そこで選手会は「保留制度に縛られている現状は独占禁止法(自由経済社会において、企業が守らなければいけないルールを定め、公正かつ自由な競争を妨げる行為を規制)に違反している」として、公正取引委員会に訴える決議を採択した。

ところが、選手会はいまだ公正取引委員会に対して何らアクションを起こしていない。選手会総会で会沢会長を含む12球団の25選手が決議したにもかかわらず、約7カ月にわたって全く動きがないのだ。決議が〝塩漬け〟になったまま、今月23日に再び選手会総会が開催されるわけだ。