2次T1回戦屈指の好カードは国士舘が前年度インハイ出場の成立学園を2-0で下す

AI要約

令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選の結果報告。

国士舘と成立学園の対戦や得点シーン、プレイヤーのコメントなど詳細な試合内容を含む。

国士舘が2-0で勝利し、次の2回戦に進出。インターハイ出場権をかけた戦いが続く。

国士舘の戦術や選手起用、チームの成長過程について、総監督のコメントも紹介。

今後のシーズンに向けた展望や課題についても触れられている。

国士舘の選手五加が活躍し得点を決めるなど、試合のハイライトを網羅。進化するチームの姿が浮かび上がる。

2次T1回戦屈指の好カードは国士舘が前年度インハイ出場の成立学園を2-0で下す

 令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)東京予選は5月25日、20校が参加して2次トーナメントが開幕。1回戦4試合が行われた。

 プリンスリーグ関東1部の帝京と同2部の國學院久我山、関東高校大会予選を制した大成と同準優勝の日大豊山は6月8日の3回戦から登場。決勝に進んだ2校がインターハイ(7月27日~8月3日・福島県)の出場権を獲得する。

 2年連続インターハイ出場を狙う成立学園と国士舘の強豪同士が対決した1回戦屈指の好カードは、国士舘が2-0で勝って6月2日の2回戦に駒を進めた。

 4-4-2の国士舘は、主将のボランチ島田龍(3年)が的確なパスを配給して攻撃の起点となり、左の大関流生と右の込宮空輝(ともに3年)の2列目もアグレッシブに外から敵陣へ顔を出した。

 ただ前半の決定的な得点シーンは、5分にボランチ秋山基一(3年)の蹴った右FKから、CB白井径(2年)がヘディングシュートした1度くらいだった。

 成立学園は昨年、帝京や実践学園といった難敵を連破して決勝に進出。國學院久我山に惜敗したが、インターハイ出場を遂げた。4-5-1の布陣を編成し、右MF内藤大寛(3年)がサイドから何度も好クロスを上げて好機を演出。1.5列目のMF大塚瑛太(3年)がこの好球からシュートを狙うなど、前半はいくらか成立学園のペースで進んだ。

 まず14分、左MF坂下大介(3年)の左クロスを大塚が頭で合わせたがわずかにバーの上。大塚はこの2分後、ボランチ佐々木淳希(3年)のスルーパスに抜け出したが、シュートはGKの正面を突いた。35分には内藤の右クロスに左SB工藤大地(3年)がフリーでヘディングシュート。前半最大のビッグチャンスだったが左に外してしまう。

 国士舘は後半立ち上がりの大きなピンチをしのぐと、5分に先制点となる決勝ゴールをものにした。後半開始から送り込まれたFW五加裕介(2年)が、左から軽快なドリブルで進出すると相手DFに倒されてFKを獲得。秋山がファーポストに送った絶好のボールを島田がヘッドで流し込んだ。

 これをきっかけにリズムをつかみ出した国士舘は10分と18分、いずれも五加がフリーの状態で決定的なシュートを放ったものの、2本ともGKの好守に阻まれて加点の機会を逸した。

 しかし五加は26分、“3度目の正直”で貴重な2点目をゲット。込宮のパスを右サイドで預かると、2人に挟まれながら力強く持ち運び、GKのニアサイドを打ち破る強烈なシュートを突き刺した。

 成立学園は25分にFW門間幹太(2年)が惜しいヘッド、アディショナルタイムには途中出場のFW間野彩斗(3年)がGKと1対1になったが決められず、最後まで1点が遠かった。

 殊勲の五加は本来、先発組のFWだが今回はチーム事情によりベンチスタートとなった。「(ゴールを)決めてこい、と送り出されたので絶対に取る覚悟で入りました。あのシュートはあまり角度がなかったけど、思い切って打ったんです」と説明。2回戦以降については、「1試合につき得点とアシストで3点に絡むことが目標。これをクリアしてインターハイに出たいですね」と笑顔で答えた。

 流通経済大柏から国士舘に転籍して5年目。数多くのタイトルを獲得し、名選手も育てた本田裕一郎総監督は勝っても渋い表情だった。「個々の能力が高くないし、戦術的な理解度も足りない。いろいろ教えようとするが、例えば3つの事柄を指導しても、一つ一つをなかなか覚えられないんですよ」と苦笑する。

 しかし新チーム結成からここまで、確かな成長もあるという。「個で打開できる選手が少ないので、2人で相手1人を抜くプレーの上達度は目覚ましいものがありますよ」と述べ、「これからはもっとショートパスで攻撃を組み立てられるようにしていきたい」と今後を見据えた。

       

(文・写真=河野正)