平幕湘南乃海、2敗キープし単独首位も…高田川親方「あれでは(館内が)沸かない」/夏場所

AI要約

湘南乃海が宝富士を小手投げで破り、単独首位に立つ。琴桜は明生を上手投げで下し、勝ち越す。一方、大の里は豊昇龍に敗れて後退。

師匠の高田川親方は湘南乃海に前へ出る勝負をつけるよう要望。高田川親方は柔道の強豪選手で、背景には柔道の厳しさと心の強さがある。

終盤戦に向けて「ここからですよ」と高田川親方。湘南乃海が前へ出る姿勢が必要とされている。

平幕湘南乃海、2敗キープし単独首位も…高田川親方「あれでは(館内が)沸かない」/夏場所

大相撲夏場所11日目(22日、両国国技館)東前頭10枚目の湘南乃海(26)が2敗の平幕同士の対戦で宝富士(37)を小手投げで破り、単独首位に立った。大関琴桜(26)は明生(28)を上手投げで下し、8勝3敗で勝ち越した。新小結大の里(23)は大関豊昇龍(25)の下手投げに屈して3敗に後退。豊昇龍は7勝目。2敗の湘南乃海を3敗で琴桜、大の里、平幕大栄翔(30)、御嶽海(31)、欧勝馬(27)、宝富士の6人が追う。

抱えていた相手の左腕を小手に振る。土俵中央。湘南乃海が下がりながら体を開き、宝富士を小手投げで転がした。2敗対決を制し、大の里が敗れて単独首位に浮上した。

「集中して対応できてよかった。一日一番しかないので、あすも集中して頑張る」

だが、弟子の3連勝を土俵下で見守った師匠の高田川審判長(元関脇安芸乃島)の視線は厳しい。「ただ勝ったというだけ。天才的なところもあるが、前へ出て勝負をつけてもらいたい。勝っても勝っても拍手が少ないでしょ。あれでは(館内が)沸かない」。

場所前の部屋の朝稽古には、57歳の高田川親方が稽古まわしを締めて稽古場に立つ。現役時代、押し一徹だった同親方は手取り足取り、繰り返し前へ出る大切さを説く。「寒い日もあるよ。こんな俺の姿を見て何かを感じてほしい。(湘南乃海は)まだ打っても返ってこない」。

師匠は中学時代、柔道の強豪選手として知られていた。柔道の創始者である嘉納治五郎と並び、昭和20年に講道館柔道の最高位「十段」を授かった三船久蔵十段も現場指導にこだわった。生みだした新技「空気投げ」(隅落=すみおとし)の遣い手として名を残す。70代になっても柔道着をつけて道場に立ち、「心の中心をつくってぶれないように」が口癖だった。

高田川親方は「ここからですよ」。終盤戦。番付上位との対戦が組まれることは必至。前へ出なければ、道は開けない。(奥村展也)

■湘南乃海 桃太郎(しょうなんのうみ・ももたろう) 本名・谷松将人。平成10年4月8日生まれ、26歳。神奈川県大磯町出身。小学生から野球で体を鍛え、相撲未経験ながら恵まれた体格で多くの部屋から勧誘を受け、大磯中卒業後に高田川部屋に入門。平成26年春場所初土俵、令和5年初場所新十両、同年名古屋場所新入幕。敢闘賞1回。幕内通算46勝40敗(6場所)。得意は左四つ、寄り、押し。好きなアーティストは湘南乃風。194センチ、190キロ。