二遊間で1、2番を担った東出輝裕から3連覇の原動力・田中広輔まで。カープ歴代のショートたち【後編】

AI要約

遊撃手としてチームを支える内野の要。カープの歴代遊撃手や現役選手の活躍を振り返る。

現在のカープを支えるコーチやベテラン選手の紹介。

梵英心や田中広輔など、カープの遊撃手たちの軌跡。

二遊間で1、2番を担った東出輝裕から3連覇の原動力・田中広輔まで。カープ歴代のショートたち【後編】

 内野の要としてチームを支える遊撃手。広い範囲をカバーし、 難しい打球をものともせず、華麗にグラブをさばくその姿は、 野手の花形ともいわれている。

 現在カープでは小園海斗、矢野雅哉が激しいショート争いを演じている。カープの歴代遊撃手にも、日本記録保持者、 盗塁の名手、ベストナインなど錚々たる面々が名を連ねる。ここでは、なつかしのレジェンドから三連覇の立役者まで、 広島のショートを守った男たちの活躍を振り返る。【後編】となる今回は、現在のカープを支えるコーチから、ベテランの域に達するあの現役選手までを紹介していく。

◆梵英心との二遊間で躍動。二塁手としてベストナイン二度受賞/東出輝裕

(カープ在籍:1999~2015、コーチ歴:2015~)

 福井の名門校・敦賀気比から1998年ドラフト1位でカープ入団。高卒1年目ながら一軍登録されると、主にセカンドとして出場機会を得た。

 2000年からはショートにコンバートされ、セカンドの木村拓也とともに1・2番として活躍した。2002年にはエディ・ディアスとの二遊間を形成。一時出場機会が減少したものの、2006年からはセカンドに転向。同学年である梵英心と二遊間を組むと、リーグトップの277刺殺、421捕殺を記録した。2008年、2009年にはセカンドとして2年連続ベストナインを受賞した。

 2013年には前十字靭帯の断裂、半月板の損傷など度重なるケガに見舞われ、翌年から選手兼任コーチに就任した。現役引退後は長年コーチを務めている。

◆異色の助っ人センターラインを形成した元メジャーリーガー/A・シーツ

(カープ在籍:2003~2004)

 マリナーズ、エンゼルスなどを渡り歩き、2003年に来日した助っ人外国人選手。

 遊撃手としてMLBの複数チームで活躍し、守備力を期待され山本浩二監督時代のカープに入団。堅実な守備を武器に遊撃手としてスタメン出場を重ね、一時はグレッグ・ラロッカと外国人二遊間コンビを組みカープのセンターラインを担った。

 一方、打撃面でもチームに大きく貢献。2003年には25本塁打、打率.313、2004年も23本塁打、打率.284を記録するなど勝負強い打撃で4番打者も務めた。2005年に阪神移籍後も攻守に活躍を続け、2006年には打率.310の好成績を残した。

◆ケガを乗り越え涙のサヨナラ弾。現在はスカウトとして活躍中/尾形佳紀

(カープ在籍:2004~2009、スカウト歴:2009~)

 アマチュア球界のエリートコースを歩み、即戦力内野手として2000年にカープに入団。

 1年目から一軍53試合に出場しユーティリティプレーヤーとして活躍するが、シーツの阪神移籍後は「1番・ショート」として出場機会が増加。打率も3割を超えるなど好調を維持していたものの、前十字靭帯断裂などの故障が相次ぎ、戦線離脱を余儀なくされる。

 2年ぶりの復帰となった2007年、代打起用された巨人戦(8月24日)で自身初のサヨナラ本塁打を放った。試合後のお立ち台では涙を流し、「最後の一押しは(ファンの)みなさんのおかげで(打球が)スタンドに入ることができました」と感謝を口にした。

 現役引退後はスカウトに転身し、鈴木誠也、田中広輔、森下暢仁らを担当した。

◆“隠し球”でファンを魅了したトリックプレーの名手/山﨑浩司

(カープ在籍:2005~2008)

 プロ入り2年目の2005年に、菊地原毅との交換トレードでオリックスからカープに移籍。

 当時ショートを務めていた尾形佳紀の故障離脱により出場機会が増加すると、2006年にはショートとして開幕スタメンを果たした。以降は一軍と二軍を行き来する生活が続いたが、2007年からはスタメン機会が再び増加。8月15日の巨人戦では、7回1死二・三塁の場面で二塁ランナーの阿部慎之助に隠し球を成功させるなど、随所で見せた“いぶし銀”のプレーでプロ野球ファンを魅了した。

 2008年にトレードで再びオリックスに移籍すると、2009年のソフトバンク戦でも隠し球を成功させ、セ・パ両リーグで隠し球成功という珍しい記録を達成した。

◆同級生コンビで広島の二遊間を支えた遊撃名手/梵 英心

(カープ在籍:2006~2017)

 地元・広島県出身で、駒澤大から2005年大・社ドラフト3巡目でカープに入団。

 1年目から開幕戦にスタメン出場すると、3割を超える得点圏打率、チームトップの13盗塁を記録する活躍を見せた。同学年の東出輝裕と二遊間を組み、1・2番コンビとして定着し、新人王を獲得した。

 野村謙二郎が監督に就任した2010年にはチーム唯一となる全試合出場を果たし打率.306をマークするなど主力として活躍し、ゴールデングラブ賞・盗塁王(43盗塁)を獲得。2014年からは選手会長も務めた。

 カープ退団後は社会人野球でプレーし引退。2021年からオリックスのコーチに就任すると、25年ぶりの優勝に大きく貢献した。

◆三連覇をけん引、選手会長としてもチームを支えたリードオフマン/田中広輔

(カープ在籍:2014~)

 プロ入り1年目から開幕一軍入りを果たすと、夏以降は梵英心に変わってショートとしての起用が増加。翌2015年には開幕戦で「8番・ショート」としてスタメン出場を果たし、髙橋慶彦が1985年に残した守備機会723に次ぐ、710を記録した。

 2016年には公式戦全試合フルイニング出場。これは1986年の髙橋慶彦、1994年の野村謙二郎に次ぐ3人目の記録となった。その後も2019年6月までフルイニング出場(635試合)を継続し、3連覇中は不動の1番・ショートとしてチームを牽引。

 2017年には盗塁王、最高出塁率、ベストナインに輝くと、2018年には球団の遊撃手としては3人目となるゴールデングラブ賞を受賞した。

 現在は若手の台頭もあり出場機会が減少しているが、チームをリーグ3連覇へと導いた、かつてのリードオフマンの再起を期待するファンは多い。