継承していくことの大切さと、衰えぬ強烈な底力「まだまだ頑張らないと」永井大介…山陽オート特別G1共同通信社杯プレミアムカップ

AI要約

若手レーサーたちが、歴代チャンピオンである荒尾聡と永井大介から助言やアドバイスを受け、成長を遂げていることが話題となっている。

永井大介は後輩たちに自身の知識や経験を惜しみなく伝え、その影響を通じてオートレース業界の発展に貢献している。

永井大介は若い頃に片平巧からたくさんのことを学び、その恩返しとして後輩たちにアドバイスをしている。稼働中の疲れを感じつつも、今も業界に貢献し続ける姿勢を見せている。

継承していくことの大切さと、衰えぬ強烈な底力「まだまだ頑張らないと」永井大介…山陽オート特別G1共同通信社杯プレミアムカップ

◆共同通信社杯プレミアムカップ(特別G1、21日・3日目、山陽オートレース場)

 西の荒尾聡、そして東は永井大介。最近、若手レーサーたちの取材をすると、この2人の歴代チャンピオンからアドバイス、助言をもらって成長できたという話題が頻繁に漏れ伝わってくる。

 大木光は永井からスタートの切り方を伝授され、黒川京介は乗り方をレクチャーされ、持てる快速を増幅したと話す。天下のNDからのありがたき金言は、後進たちの飛躍、発展を大きく勢いづけている。

 そのことを永井本人に伝えると、とてもうれしそうだった。「えっ? みんながそう言ってくれているんですか? でも、そう思ってもらえるならそれは良かったです。自分はお節介にあれをやったらいいとか、これをした方がいいとかは言わないんですよね。ただ、聞かれたことについては、自分が知っていることはちゃんと伝えたい。それを聞いてくれて後輩たちの役に立ってくれたなら、すごくうれしいし、これまで自分がやって来たことが間違っていなかったのかなって思えますし、そのことを継承してくれて何かの形で残るならば光栄なことですよね(しみじみと)」

 平成後期。永井こそが業界の先頭に立ち、オートレースを頼もしくけん引し続けてきた。旧船橋オートレース場の最後の支部長も彼が歴任した。数々のタイトルと栄光をこれでもかとかき集め、永井時代を築いた。でも、いいことばかりじゃなかった。つらくて、きつくタフな出来事が何度も舞ってきた。そのたびに、永井は凡庸な人間にはとてもなし得ないような強烈な底力とマンパワーを発揮し、そのすべてを受け止め、耐久してきた。

 そして、年号が令和となり、永遠のオートプリンスも47歳になった。全盛期に持てる生命力のすべてを絞り出すように消費し尽くし、現在の彼が過度の疲弊、摩耗を背負っていることは想像に難しくない。それでも今も、永井はなおこの業界に多大なる影響を強く与え続けている。彼のさりげない一言が後輩たちへの大きな勇気となっている。

「自分も若い頃は片平巧さんからたくさんのことを学び、教えていただきました。そのお返しのつもりで、後輩たちにアドバイスをしているのかもしれませんね。そういう時代なのかなあ。最近はさ、青山(周平)君と(鈴木)圭一郎君に任せちゃって、ちょっと楽をさせてもらっちゃっていますが、でも自分もまだまだ10年ぐらいは頑張らないとね!」

 まだまだ頑張る―。その言葉通りに、3日目・6Rの準々決勝戦は、永井ブランドの底力を見せつけた。予選2ラウンドは7、2着。ベスト32入りを確定させるためには先頭ゴールが求められた。トップスタートは、絶賛売り出し中の黒川京介に譲ったが、ここで大王ならではの迫力を見せつけた。2番手から容赦なく先頭ポジションを奪取して、悠々と誰よりも先にゴール線を駆け抜けた。ゴールした後は、まだまだセミファナイルやV戦でない、超ヤマ場の前なのに自然と右手を挙げた。

 それを見守っていたライバルたちは「ダイスケがガッツポーズをしたよ。黒川をやっつけて相当うれしかったんだろうね」と、誰もがほほえましそうだったが、永井は思い切り苦笑いしながら本当のところを教えてくれた。

 「いやいや、いやいや、あれはガッツポーズじゃないって~。クロちゃんに『ごめんね~』って軽く手で合図しただけなんですよ~(笑い)。でも、今シリーズは久々に状態が良くなってくれましたからね。クランクを交換して、やっとセッティングが合って来た感じなんです。最近はなかなか結果を出せていないんですが、これでも仕事は結構やっているんですよ。いずれ火が噴くことを願ってね…」

 熱烈なファンである読売ジャイアンツは4年ぶりのリーグ優勝に向かって加速している。「巨人の優勝も間近だし、本当に楽しみですよ~」とこの時はさらに笑顔が増したが、永井さんも21年以来となるプレミアムカップ制覇をぜひ実現してください。永井大介が躍動すると、ライバルたちも、ファンも、オートレース全体が激しく盛り上がる。まさに、彼こそが真のスーパースターである。

(淡路 哲雄)