【巨人】井上温大〝鬼門〟克服しての8勝目に指揮官が初めて合格点〝ツンデレ育成〟実る

AI要約

巨人が20日の広島戦で勝利し、井上温大投手が好投を見せ、5回1失点で勝利。指揮官の育成に応えた。

阿部監督が厳しく接してきた井上には期待が込められており、井上も成長を感じている。

敵地マウンドでの井上の活躍で、鬼門も克服し、巨人はVへ向かっている。

【巨人】井上温大〝鬼門〟克服しての8勝目に指揮官が初めて合格点〝ツンデレ育成〟実る

 巨人が20日の広島戦(マツダ)に8―2で勝利し、引き分けを挟んで4連勝。〝鬼門〟のマツダスタジアムで5連勝を飾り、優勝マジックを「6」に減らした。そのカギを握ったのが、5回1失点で8勝目をマークした5年目左腕・井上温大投手(23)。指揮官の〝ツンデレ育成〟に見事、結果で応えた。

 若き左腕が敵地で躍動した。4回に1点を失い、なおも無死一、二塁でギアを引き上げた。アウトをすべて空振り三振で奪い、最少失点で切り抜けると5回90球6安打8奪三振1失点の好投を見せた。

 阿部監督は「上出来だったと思いますし、こういうプレッシャーがかかる試合でしっかり試合を作ってくれたので、ナイスピッチング。今日はベースカバーをやってたので、それでいい」と就任後、左腕に対し初めて合格点を出した。

 二軍監督時代にルーキーだった井上には、一軍に舞台が変わっても厳しく接してきた。7月27日のDeNA戦(横浜)で井上が気の抜けたボールを投げると、すかさず杉内投手チーフコーチをマウンドに行かせて「10年早い」とカミナリ。8月3日のヤクルト戦(東京ドーム)では1点リードの5回二死で降板させ、試合後に「いや、ひどいですよね。その一言です」と切り捨てた。

 ここまでベースカバー遅れがたび重なり、直接〝愛のムチ〟をふるったこともあった。9月7日のDeNA戦(東京ドーム)では、一ゴロのベースカバーが遅れた井上の頰をベンチで軽くペチリ。この時の模様はテレビ中継にも映し出された。

 阿部監督は井上に厳しく接する真意を「期待の裏返し。若かりし頃から知ってるから『こんなに(立派に)なっちゃった』みたいにうれしい気持ちの方が大きい」と明かす。だが成長を促すため態度には一切出さず「甘やかすわけにはいかない」と〝ツン指導〟を続けてきた。

 そこには「対カープ秘密兵器」としての期待も込められている。現在、ローテ左腕はグリフィンと井上の2人だけ。広島が首位を走っていた8月下旬に指揮官は「広島は左ピッチャーの方が負けてる確率高いんじゃない?」と勝負どころでの井上投入を早くから決断していた。

 そのため、1日も早く〝基本〟をクリアしてもらわないといけない。敵地マウンドに立った井上はこの日、2度のベースカバーに全力疾走した。井上は「ピッチャーが最低限できるプレーだと思うので。練習でもやっていたことが、試合で出せて良かった」と指揮官の指導に感謝していた。

 先を見据えた采配で井上が大きな成長を遂げ、さらに〝鬼門〟も完全克服した阿部巨人。4年ぶりVへまっしぐらだ。