「個人的な話になるんですけど…」J1川崎・三浦颯太がACLE蔚山戦で秘めていた古巣・J2甲府への思いとは――「僕が違うチームで蔚山にちょっとやり返した」

AI要約

川崎フロンターレが蔚山現代を撃破してACLエリートステージ第1戦に勝利し、三浦颯太が決勝点に関わった。

三浦颯太は古巣甲府への思いを胸に持ちながら、ACLでの勝利を喜んでいる。

ACLの雰囲気を楽しんでいる三浦颯太は、今後の活躍に期待されている。

「個人的な話になるんですけど…」J1川崎・三浦颯太がACLE蔚山戦で秘めていた古巣・J2甲府への思いとは――「僕が違うチームで蔚山にちょっとやり返した」

 9月18日、AFCチャンピオンズリーグエリートのリーグステージ第1戦に挑んだ川崎フロンターレが蔚山現代を撃破した。その試合で、特別な思いを抱いていたのが三浦颯太だ。

 今季から新しいフォーマットで開催されるACLE。その第1戦にJリーグ勢から3チームが挑んだものの、勝利したのは川崎フロンターレだけだった。そして、その決勝点に関わったのが三浦颯太だ。

 スコアレスで迎えた54分、マルシーニョが左サイドから中に切れ込んでシュートを叩き込んだが、その際、おとりとなったのがこの左サイドバック。CBの佐々木旭が大外にいるマルシーニョにパスを出した際、三浦が中にポジションを取っており、スルーしたボールがそのマルシーニョに届くと、縦に走って相手選手一人を引っ張っていた。マルシーニョは、その空いたスペースを使っていたのだ。

 三浦の働きもあって川崎フロンターレはアジアの舞台で白星発進することに成功。加えて、川崎としてはアウェイでの蔚山戦で初めて勝利を掴んだ。

 試合後の三浦にその話を振ると、「そういうジンクスだったのはちょっと知らなかったですけど、敵地で勝てたのはでかいですし、それが初戦だったっていうこともでかいです」と手応えを明かす。そして、「個人的な話なんですけど……」と、切り出したのは、古巣であるJ2ヴァンフォーレ甲府への思いだった。

 三浦颯太は、今季から川崎のユニフォームを着てプレーしている。昨年所属していたのが甲府で、特別指定選手を経てプロ入りしたのは昨年のこと。その1年目に、甲府はACLに参戦していた。

 J2チームながら天皇杯を制して出場権を勝ち取っただけに、アジアでも快進撃を見せる。決勝トーナメント進出の快挙を成し遂げ、ラウンド16で蔚山現代と対戦した。

 三浦はグループステージでは甲府の選手として出場していたが、ラウンド16のホーム&アウェイの2試合は川崎に移籍後に開催されていたため、出場することは叶わなかった。一戦目はアウェイ開催で、0-3の完敗。国立競技場での第2戦目も1-2で敗れ、ラウンド16で敗退していた。

 その第1戦の会場が蔚山文殊フットボール・スタジアムであることを三浦は覚えており、「甲府も負けていたので、前回の一回戦で。自分も昨年、甲府でACLに出て予選を突破しましたけど、トーナメントは移籍していて(ラウンド16は川崎で出場)。(今年のACLEの)1試合目がたまたま蔚山だったので、ちょっと頭の片隅に置いておくじゃないですけど、そういうのがあったので勝てて良かったです」と、神妙な面持ちで明かす。

 そして、「僕が違うチームで蔚山にちょっとやり返したのかなと思います」と、この勝利を古巣へも捧げていた。

 その三浦にACLについて聞けば、「本当にこの雰囲気もすごいですし、試合展開もオープンになるので、僕は好きな大会。この大会にプロ2年目にして2年連続で出れているっていうのも幸せなことですし、本当に1試合1試合楽しんでやりたいです」と笑顔で話す。

 三浦は今年1月1日にサッカー日本代表としてもデビューを果たした、期待の左サイドバック。今後、さまざまな活躍が期待されている。今季はJ1を舞台に定位置を掴んでさらなる成長を遂げているが、ACLEでの経験はさらにその成長を促すはず。

 川崎へ、甲府へ、そして自信の成長へ――さまざまな思いを胸に秘めながら、2戦目の勝利を誓う。

(取材・文/中地拓也)