2カ月ぶり昇格の巨人・萩尾匡也、途中交代失意の夜に長野から届いたメッセージ「死ぬわけじゃないんだから」

AI要約

萩尾匡也外野手(23)が約2カ月ぶりの1軍昇格を果たし、挑戦と成長の道を歩んでいる様子が描かれる。

萩尾は先発起用された試合で自信を喪失し、苦しい日々を送るも、チームメイトやベテランからの励ましで立ち直り、懸命に練習に励む姿が描かれる。

同期入団の浅野との友情や競争関係、そして自己成長を目指す姿が、リーグ優勝への道を照らす一部始終が明かされる。

2カ月ぶり昇格の巨人・萩尾匡也、途中交代失意の夜に長野から届いたメッセージ「死ぬわけじゃないんだから」

【G戦士の鼓動】巨人のファームで研鑽(けんさん)を積む選手を中心にクローズアップするウェブ連載「G戦士の鼓動」(随時掲載)。それぞれの奮闘記を描く。第18回は約2カ月ぶりの昇格を果たした萩尾匡也外野手(23)。

あの日ばかりはチームの元気印から笑顔が消えた。10試合ぶりに先発起用された7月6日のヤクルト戦(神宮)で2打席連続3球三振を喫し、三回の守備から途中交代。周りに気を遣わせたくないと普段は落ち込む姿をあまり見せないが、「完全にシャットアウトしていました」。試合後は球場の食堂で食事をとる選手も多かったが、向かったのは自家用車の運転席。他の選手らと会話も交わすことなく、帰宅の途についた。

ハンドルを握って車を走らせていると、スマートフォンが鳴った。この日もベンチから戦況を見つめていたベテラン、長野久義外野手(39)からのLINEメッセージだった。

「明日はまたやって来る。死ぬわけじゃないんだから」

普段から食事に連れていってもらうことも多く、「仲良くさせてもらっている」と慕う大先輩からの励ましの言葉。気持ちを切り替え、翌日はいつも通り早出練習に参加した。

尊敬の証がある。リュックにぶら下がる、背番号7のユニホーム型クッションキーホルダーだ。球団のオンラインショップで購入し、長野本人のもとへ持参。直筆サインをねだると、長野は「気持ち悪いな!!」と笑いながらペンを走らせてくれたという。〝お守り〟のようにずっとつけているため、汚れが目立つようになってきた。「そろそろ一回洗おうかな」と大切そうに指で土埃を払った。

途中交代の数日後に登録抹消され、以降はファームで汗を流す日々が続いた。首位を走るチームでスタメンに定着した浅野は同期入団。2人は同じ寮で生活を送っており、休日の午前中には、ジャイアンツ球場でともにマシンを相手に打ち込む姿もあった。年齢こそ違うが、同じ右打ち外野手。野球のことはもちろん、プライベートの話もよく交わす仲だという。

「(浅野)翔吾もエリー(ヘルナンデス)もライバル。試合に出るためには、丸さんだったりとかも超えていかなきゃいけない」

9月に入り、高めの直球に対応するため、トップの位置を高くするフォームに変えたこともあった。「うまくいかなかった」と結果的には元に戻すことになったが、試行錯誤を重ねている。「とにかくうまくなりたい。いい選手になりたい」。シーズンも残り13試合となった16日、約2カ月ぶりの1軍復帰。4年ぶりのリーグ優勝へのラストピースとなる。(原田優介)