【宏太’Sチェック】J1札幌、菅大輝と近藤友喜の両サイドが仕事をすれば自然と残留はできる

AI要約

東京Vはアクションの差やミシャの妥協により敗北。相手の素早いフォローと高いラインに苦しむ。

後半のパワープレーは妥協とも捉えられたが、効果的な準備が欠如。残り8試合での選手の決定的なプレーが重要。

菅と近藤の存在は大きいが、改善点も。菅のボールの受け方や近藤のクロスの質に課題が残る。

【宏太’Sチェック】J1札幌、菅大輝と近藤友喜の両サイドが仕事をすれば自然と残留はできる

◆明治安田J1リーグ▽第30節 東京V2―0札幌(14日・大和ハウス プレミストドーム)

 東京V戦の敗因は、アクションの差の違いが大きかった。相手は1トップの木村にボールが入った時、2シャドーが素早くフォローしていた。それに加えてDFもハーフラインまでラインを上げて、さぼってはいけないところでさぼっていなかった。全員が予測した上で動き出していたのに対し、札幌は武蔵がいいキープをした時になったら走ろうという感じ。後手後手になってしまい、バタバタしたまま終わった印象だ。

 後半27分くらいからパワープレーに転じたが、あれはミシャの妥協点かと。今まで通りにつなぐサッカーをしていると、終盤になるとどうしてもパワーが落ち、マンツーマンの寄せが遅くなり、後ろもギャップを突かれて失点してしまう。0―1という状況でもあったし、点を取れずにいてカウンターでやられるなら、シンプルにするのはある程度、仕方ない。パワープレーをしたことに対してどうこうは言わないが、やるならばボールの引き込み方とか、チームとしてオートマチックにできる形は何個か準備しておくべきだった。

 残り8試合、カギになるのは決定的な仕事をできる選手。その意味では両サイドの菅と近藤の存在は、大きなものになってくると思っている。左の菅が使われているのは一発があるから。ただ東京V戦ではサイドでのボールの受け方でも、中に出すふりをして前にいく場面が0に近かった。後ろに戻すこと自体は間違いではないが、その選択をしたことで最も速く展開できるならという時の話。そうでないなら戻すと見せて体を開いて前の選手につけるとかしないと。ちょっとの工夫で場面がガラッと変わるシーンはたくさんあった。

 近藤もいい抜け方はしていたが、クロスの質が良くなかった。100%のドリブルで行って、そこから正確なクロスを上げるのは無理。一生懸命なプレーは評価しているが、突破した後の余力がなさ過ぎる。スピードに頼っているような形を、変えていくのも今後必要だ。

 2人ならやれると思っているから、あえてここで言わせてもらった。彼らがアシストなどもっと目に見える数字を残さないと、今後の戦いは厳しくなる。キーマンの彼らが責任と自覚をよりピッチで示していけば、周りも触発され、自然と残留はできる。

(吉原 宏太、1996~99年札幌FW)