【競輪コラム】“的中が分かりやすい映像”と“迫力ある映像”は別 棲み分けが必要では

AI要約

ネット全盛。画面上での見せ方が非常に大事だと思う。

競輪のレース映像について、捲る選手のアップなど画角の切り替えを避け、隊列全体やゴール前の全体を見せるべきだ。

工夫を凝らした映像はビギナーや若者を引きつける一方、映像配信サイトでチャンネルを分けて放送することで、複数の視点を提供するのが良いだろう。

【競輪コラム】“的中が分かりやすい映像”と“迫力ある映像”は別 棲み分けが必要では

 ネット全盛。画面上での見せ方が非常に大事だと思う。特にレース映像について思うところがある。

 「最終バック、○○が捲っていく」。このシーン、捲る選手のアップなど画角の切り替えはやめてほしい。隊列全体が映っているのが理想。なぜなら、捲る選手以外も車券に関わっているから。全体とのスピード差、先行の番手がどれだけ余裕があるかなど。車券を買っているファンが見たい箇所はたくさんある。

 また、圧勝のゴール前もそう。車券を買っている側からすれば1着は分かったが、問題は2、3着。1着をアップにせず、全体を見せてほしい。競輪はギャンブル。自分の車券が当たるかどうかという最高に興奮するシーンだからこそ、映像はシンプルにしてほしい。

 ただ、工夫を凝らした映像を否定したいわけではない。迫力や魅力がある画角はビギナーや若者を引きつける。大事なのは棲み分けだ。迫力ある映像は車券的に見やすいものとは別に、動画配信サイトでチャンネルを分けて放送するのがいいのではないか。

 実際にボートレースではレース全体の映像と、水面上から撮った迫力ある映像を分けて放送し好評だ。また、競馬も騎手のヘルメットにつけた映像を動画配信サイトで公開し話題になっている。

 パリ五輪の自転車競技では、サドルの下につけたカメラからの映像が公開され臨場感があった。競輪でも可能ではないか。別枠でネット配信することで競輪の迫力やスピード感を知ってもらえる。また、手軽にアクセスできるため話題になりやすく、新規ファン獲得にもつながるだろう。

 車券的興奮と工夫された臨場感。棲み分ければギャンブルとしての高揚感を損なわず、迫力も味わうことができる。今やネットでレースを見るのが主流。場内も大事にしつつ、映像にはコストをかけてでも力を入れるべきではないか。(渡辺 雄人)

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の29歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。YouTubeの検索履歴は「○○競輪ライブ」ばかり。