【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】江口のりこさんの怪演が素晴らしい! 『愛に乱暴』

AI要約

LiLiCoさんが厳選する映画3本を紹介。1本目は江口のりこ主演のサスペンス映画『愛に乱暴』。ストレスを抱える主人公の日常が歪んでいく様子が描かれる。原作は吉田修一の小説。

2本目はフランスのサバイバルスリラー『ACIDE/アシッド』。異常気象による強酸性雨が降り注ぎ、生き残った人々が安全な場所を求めて移動する中、主人公たちは娘を救出しようとする。意外な展開が楽しめる家族愛映画。

【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】江口のりこさんの怪演が素晴らしい! 『愛に乱暴』

TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。

暦の上では秋ですが、まだまだ暑さが去ってくれない9月。大作ではない作品で映画館にゆったりおこもりしていただきたく、今回は日本映画と海外の作品で3本紹介しますね。いつもより多めなので駆け足で! まずは『愛に乱暴』。江口のりこさん主演のサスペンスです。

夫の実家の敷地にある離れで暮らす桃子は、姑の照子との関係とそれに対する夫の無関心にストレスを抱えていました。そんな彼女は、石鹸教室の講師をしたり、センスのいい丁寧な暮らしをすることで、そのストレスを紛らわす日々。そんなあるとき、ゴミ捨て場の不審火や餌付けしていた猫の失踪、SNSの不穏な投稿表示などなど、それまでになかった出来事が連続します。

平穏な生活に努めてきた桃子は、次第に暴走を始めます。数々の著作が映像化されている吉田修一さんの同名小説が原作です。いやー、ほんと好きなタイプの映画だったなー! なんといっても江口のりこさんの怪演が素晴らしい! 大暴走! それに、ちょっとずつ日常が歪んでいくのに、その原因が全く分からない不穏さ。あらゆるところに目を配らせていないと、解釈が変わってくる展開もすごく面白いですよ。

さて、次はフランスのサバイバルスリラー『ACIDE/アシッド』です。異常気象で猛暑日が続くフランスに、見たことがない雲が現れます。

実はその頃、南米にも同じ雲が現れ、強烈な酸性雨が降り注ぎ、国を壊滅させていました。その雨の威力はすさまじく、人を含む動物のみならず、自動車や建造物も溶かすという強酸性。人々はパニックに陥り、生き残った人たちは安全な避難場所を求めて移動を始めます。そんな中、北部の地方都市で暮らすミシャルと彼の元妻エリースは、寄宿学校にいる娘セルマをなんとか救出。彼らも安全な場所を探そうとするのですが……。

そんなのありえない、とは思いつつも、もしこれが現実化したら……という恐怖でゾクゾク。しかも、予告編をご覧いただくと、これがパニック映画のように見えるんですが、違うんですよ。

この手のディザスター映画や異常気象ものは、たいていがサバイバルを中心としたパニック映画なんですが、これはパニック映画じゃないところが重要なところ。想像していた展開でもなければオチでもありません。一言でいうと、「家族愛映画」。このギャップを楽しんでいただきたいので、詳細はスクリーンでね。