「応援の声、ベンチの声、全員の力で勝てました」鎌倉、ラストプレーで追いつかれるもPK戦で大和を下し2回戦進出

AI要約

第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選1回戦が7日に開幕し、かもめパークでの鎌倉と大和の対戦が行われた。

前半は鎌倉がペースを作り、小島和也のゴールで先制。後半は大和がペースを取り戻し、延長戦までもつれた試合をPK戦で鎌倉が制して2回戦進出を決めた。

鎌倉は終盤まで苦しい展開だったが、チーム全体の頑張りとベンチのサポートが勝因となった。

「応援の声、ベンチの声、全員の力で勝てました」鎌倉、ラストプレーで追いつかれるもPK戦で大和を下し2回戦進出

 第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選1回戦が7日、開幕。会場となった かもめパークでは第5シードの鎌倉と大和が対戦した。

 前半は鎌倉ペース。ある程度、相手を引き込みながら、奪って一気に前に出る鎌倉は3トップの中央FW10小島和也(3年)が勇躍。小柄ながらポストプレーで起点となる、あるいはドリブル突破で相手陣内に進入。いくつか決定機を作った。そのなか、迎えた36分。そのFW10小島が左足でシュートを決め先制。

「(きょうの試合は)調子よくボールが収めることができましたしドリブルも良く、いい結果になりました(FW10小島)」この言葉通りの活躍となった。

 鎌倉が1-0で前半を折り返すと後半は徐々に大和ペースに。サイドを起点に攻撃を仕掛ける大和。特に左サイドバックDF5長谷部悠央(3年)が前半以上に突破とクロスで好機を見せた。

 次の1点が重要となる局面。双方、ロングボールを多用し始め、より上下に忙しい展開に。さらに気温32℃の暑さが手伝い、足がつる選手が続出。消耗戦の様相を呈した。

 時計の針は進み、後半アディショナルタイム。残りワンプレー。ラストチャンスが大和に訪れる。CKから最後はFW10中原一樹(3年)が押し込み、同点に追いつき延長戦に突入する。勝負は10分ハーフの延長戦でも決着つかず、PK戦となった。

 先攻・大和、後攻・鎌倉は1人ずつ決めると、大和2人目が失敗。その後、両チーム3人ずつ成功し、試合終了。鎌倉がPK戦を5-4で辛くも制し、2回戦進出を決めた。

 鎌倉・古澤大暉監督は「(鎌倉には)前にスピードのある選手がいるので、前にボールが入るとチャンスは出てきますし、決定的な場面は作れ、得点できたことはよかったです。後半は苦しい時間帯での守り方を修正して、次の試合に臨みたいです」と総評した。

 また先制点を挙げ、後半30分で交代したFW10小島は試合終了まで祈るような思いでピッチを見つめていた。

 「同点に追いつかれたとき、足が止まった選手、足がつりそうになっている選手がいる苦しい試合のなか『負けるかな』とよぎりましたが、みんなが頑張って耐えてくれて、PK戦まで勝ってくれてよかった」と話すと、キャプテンマークを巻いたMF28 佐々木岳人(3年)は「後半は後ろにさがりすぎてセカンドボールを拾われてしまいました。一度、相手に流れが傾きましたが、最後は気持ちかなと。応援の声、ベンチの声、全員の力で勝てました」と勝因を語った。

 ちなみに、佐々木の背番号「28」。主将のわりには大きな番号だが、佐々木によれば、レギュラーとして1年から「28」を着けているため、愛着が出て、いまでもつけているそうだ。

 延長戦含め100分間、双方、チャンス、決定機の数はほぼ同数だった印象。そのなか、勝った鎌倉にとって薄氷ながら、いや薄氷だったからこそ、貴重な経験値を得た勝利と言える。

 これは選手だけではないかもしれない。「ああ走らされてしまうと…」と苦い表情の古澤監督。それもそのはず、大和の狙いはできるだけ相手を走らせること。そして背後を突くこと。試合は総力戦ならぬ走力戦となり、結果、鎌倉はベンチワークで切り抜けたものの、「うちが走り負けていました」と反省を忘れない。

 なお、勝った鎌倉は9月16日に行われる2回戦で光明相模原(第4シード)と対戦する。

(文・写真=佐藤亮太)