中国戦の勝因は森保監督の「経験」と月間MVP候補らの「能力」、三笘と堂安「WB起用」【ワールドカップ最終予選「開幕」の激論】(1)

AI要約

日本代表が北中米ワールドカップ・アジア最終予選で中国代表に7-0で勝利し、次はバーレーンとの対戦に挑む。試合内容やチーム力、森保監督の戦術について大住良之と後藤健生が分析する。

中国戦では森保監督のフォーメーションがハマり、選手の能力やチーム力の向上が顕著に。欧州クラブ所属選手の存在や安定したチームの結束が勝利につながった。

選手個々の動きや3年前の経験を踏まえ、日本代表は前進しているという感じを大住と後藤が共有。次戦でも成熟したチームの力を発揮することが期待される。

中国戦の勝因は森保監督の「経験」と月間MVP候補らの「能力」、三笘と堂安「WB起用」【ワールドカップ最終予選「開幕」の激論】(1)

 北中米ワールドカップ・アジア最終予選がついにスタートした。日本代表は、9月5日に中国代表とホームで初戦を戦い、7-0と快勝。続いて、現地時間10日(日本時間11日午前1時)には、アウェイでバーレーンとの第2戦を戦う。初戦の内容から何を学び、次の試合につなげていくべきか。ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が存分に語り尽くす!

――中国戦は、褒めるところしかないような内容だったのではないでしょうか。

大住「いや、そんなことはないよ。直さないといけないところとか、これはなあ…と気になる点はいくつかあった。後藤さんがどう考えているかは分からないけど」

後藤「そりゃあ、細かいことを言ったらいくらでもあるでしょう。何も文句のつけどころがない試合なんて、サッカーをやっている以上はありえないんだから。だけど、そこまであげつらう必要はないと思うけど。まあ、力の差がありすぎたかな」

大住「チーム力もあるけれど、僕は森保一監督が引き寄せた勝利、という感じがするけどね。

 3年前の最終予選初戦、今回、中国を率いたブランコ・イバンコビッチ監督が指揮するオマーンと対戦して、守りに守られた末、最後に1点取られて負けたよね。今年2月にアジアカップでイランに負けたときには、ロングボールに対する“もろさ”をさらけ出した。そういう悔しい経験を活かして森保監督が選んだ3-4-3のフォーメーションが、すごくハマった感じた。試合前に先発メンバーを見たときには、サイドバックがいなかったので、いったい、どうするんだろうと思ったけど」

――どのような点がハマったのでしょうか。

大住「中国が引いて守ってくるのに対して、サイドに2人ずつ置いて突破させて、活路を見出そうとしたんだよね。相手が蹴ってくるロングボールに対しては、背が高くてヘディングの強い選手が3人並んでいれば、問題はないと考えた。要は、試合を読み切った結果が、ああいう形になって出たんじゃないかなと思う。

 もちろん、森保監督自身が言っていたように、全然練習できない選手もいた3年前と違い、選手のコンディションは悪くなかった。選手の移動など、いろいろな努力の結果でもあると思うけど、相手のやり方を予想して、こういう試合にしたのは森保監督の力だなと思った。森保監督、えらい!」

後藤「僕が一番感じたのは、3年前と比べてチーム力がケタ違いに上がっているということ。3年前のオマーン戦は、最後に無理して仕掛けて負けたけど、0-0で引き分けても仕方ないな、という内容だった。でも今回は、完璧に試合をコントロールしていた。

 2点目が入るのが少し遅かったけど、前半のうちにリードを広げて、後半に追いつこうと考えていた相手の心を折った。

 一部ではそうじゃない選手もいたけど、全体的に個々の動きは非常に良かった。試合の3日前に全員が帰国できたのも大きかったけど、やはり3年前とは選手の格が違っている。何しろ、欧州各国リーグのトップクラスのクラブに所属する選手が何人もいて、さらにレギュラーを張っているわけだからね。  

 選手個々の能力もはるかに上がっているし、そのメンバーも監督も変わらないことで、積み上げもある。チームとしても安定性が増していて、3年前とは全然違うチームだと感じたよね。前回は、新しいクラブへの移籍や新シーズンを前にしての不安があって、代表活動に集中できていない感じもあったけど、今は違う。

 南野拓実はモナコの月間MVP候補だし、スタッド・ランスは伊東純也なしではやっていけない。そんな選手ばかりだからね。皆、安心して代表活動に専念している。3年前からはチームのレベルが上がったと、一番強く感じたね」