白井元調教師と学ぶ血統学【92】ドバイワールドカップ連覇の〝二刀流〟サンダースノーの扱いは? 新種牡馬の総括は意外な結末に…

AI要約

サンダースノーはドバイワールドカップを2連覇するなど活躍する馬で、成績は非常に優れている。

血統からはスピードを持つ種牡馬イメージがあるが、距離もこなせる可能性がある。

価格は250万円と手頃であり、アファームド、ヌレイエフといった強力な血統を持つため、将来有望な馬として期待される。

白井元調教師と学ぶ血統学【92】ドバイワールドカップ連覇の〝二刀流〟サンダースノーの扱いは? 新種牡馬の総括は意外な結末に…

【白井元調教師と学ぶ血統学「温故知新」】

 元JRA調教師の白井寿昭氏に指南役をお願いし、さまざまな角度から血統を考える連載の第92回。サンデーサイレンス編を中断し、本年デビューの新種牡馬をチェックしていく連載の最終編になる。トリを飾るのは2018、19年のドバイワールドカップを連覇したサンダースノー。同馬の評価を白井氏はどのようにジャッジしたのか? その答えを聞いていく。

 進行は東スポ競馬・関西地区本紙担当であり、白井氏との親交も深い松浪大樹記者。これまで以上に興味深い話の数々を堪能していただきたい。

 松浪大樹(東京スポーツ記者=以下、松浪)今年の新種牡馬をテーマにした連載も最終局面。最後に取り上げる馬はサンダースノーです。

 白井寿昭氏(元JRA調教師=以下、白井)ドバイワールドカップを連覇した馬やな。芝のGⅠも勝ってるんやったっけ?

 松浪 はい。ジャンプラ賞。2017年に勝っています。それも含めてGⅠ勝ちは4つ。5歳まで走りましたから、キャリアもそれなりに積んでいますね。

 白井 成績は言うことないんちゃうか。ドバイワールドカップの連覇は素晴らしいし、BCクラシックにジャックルマロワ賞、セントジェームズパレスSなどの主要なレースでの3着もある。

 松浪 2歳の早い時期からGⅠを勝って、UAEダービーも勝って。古馬になってからもちゃんと走っています。確かに理想的ですよね。

 白井 芝もダートも問わない。距離もな。

 松浪 2歳時のGⅠは1400メートル。ドバイワールドカップは2000メートルですから、距離のレンジは広いですね。

 白井 これ、ダーレーにおるんやろ? ええのを持ってきたな、という感じがするわ。

 松浪 確かに。向こうでも走れそうなレベルに思えますね。

 白井 この血統にいるほとんどの馬を実際に見たで。エクシードアンドエクセル、デインヒルにダンジグ。

 松浪 そのイメージはスピードですね。

 白井 スピードやね。父がヘルメットやしな。

 松浪 距離が持つイメージがない種牡馬ですけど、そんなことはないんですか?

 白井 まあ、オーストラリアやからな。スピードがメインなのは間違いないけど、長い距離を走った馬も出してたと思う。意外にこなすはず。

 松浪 あ、本当だ。イタリアですけど、2000メートルは走るんですね。母の父がシングスピールで、その先がミルリーフ。このあたりが利いているのかも。

 白井 そうやろうな。エクシードアンドエクセルが結構なスピードを持っとるからさ。何かがないと。

 松浪 ヘルメットが悪くない種牡馬であるのなら、この血統構成はちょっといいですよね。

 白井 ドバイディスティネーションはあれやけどさ。でも、この馬も血統はキングマンボにアレッジドやし、母系もヌレイエフにアファームド。ええよ。悪くない。

 松浪 でも、そんなに高くなかったはずですよ。この馬は。

 白井 250万円。ホンマやな。

 松浪 安くないですけど、高くもない。

 白井 この血統やもんな。

 松浪 ニューイヤーズデイよりは高いけど、カリフォルニアクロームよりは安い。血統と成績を考えたらね。どっちがいいのか、という話になります。

 白井 そうやね。そこは個人の考え方になるけども。

 松浪 活躍しそうな場所のイメージは、どこらへんになると思います?

 白井 芝かなあ。ヘルメットはオーストラリアやから、軽い芝でも走れると思うし。米国ほどではないけど、オーストラリアの馬は悪くない。僕も何度も現地に行ってきたけど。

 松浪 距離もこなしそう?

 白井 母系はあんまり知らんけどさ。でも、さっきも言ったけど、ええのを掛けとるから。アファームド、ヌレイエフ。底力があっても不思議はない。

 松浪 ドバイディスティネーションだけがちょっとね。ピンとこない。

 白井 ピンとこないけど、これも血統はええから。GⅠも勝っとったし。

 松浪 そうでしたね。クイーンアンS。ただ、キングマンボなら他にもいるだろ? こんな感じになるのも事実です。

 白井 そうやね。それはわかる気がする。