「息ができなかった」野茂英雄とイチロー“まさかの結果だった”メジャー初対戦の日「米で衝撃シーンが放送」現地記者が目撃「野茂の豪球が背中に…」

AI要約

2001年5月2日、野茂英雄とイチローが初めてメジャーで対戦。イチローはメジャーで好調なスタートを切っており、注目を集めていた。

野茂は好調なスタートを切った新天地での登板を迎え、イチローとの対戦に注目が集まっていた。

イチローは野茂の内角への投球を背中に受け、「息ができなかった」と語った。

「息ができなかった」野茂英雄とイチロー“まさかの結果だった”メジャー初対戦の日「米で衝撃シーンが放送」現地記者が目撃「野茂の豪球が背中に…」

 野茂英雄とイチロー。2人の天才はお互いをどう見ていたのか。2000年代、両者の対戦を取材した記者が回想する。【全2回の1回目】

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 日本人メジャーのパイオニア野茂英雄と日本人野手のパイオニアであるイチローが、初めてメジャーで対戦したのは2001年5月2日、シアトルのセーフコフィールド(現Tモバイルパーク)でのことだった。

 マリナーズでメジャーデビューしたばかりのイチローは、開幕から周囲の予想を超えるレベルで打ち続けていた。開幕3戦目から15試合連続安打をマークし、4月22日からは23試合連続安打、4月だけで1試合4安打を2度も記録するなど、まさに破竹の勢いだった。野茂との対戦を迎えたのは、23試合連続安打中の8試合を経過したところ。日本時代はそれぞれ近鉄、オリックスという同じパ・リーグで何度か対戦してきた2人だが、メジャーでの初対戦は注目の度合いも違った。日本はもちろん米国でも、このマッチアップに注目が向けられていた。

 野茂はドジャースでの鮮烈デビューから6年が経ち、球団を転々とした末にメジャー5球団目となるレッドソックスとの契約1年目シーズンだった。タイガースでプレーした前年(2000年)は8勝12敗、防御率4.74。もはや全盛期は過ぎたと思われていた時期だったが、新天地での初登板となる4月4日のオリオールズ戦でいきなり自身2度目のノーヒットノーランを達成。開幕から5試合で3勝1敗、防御率2.40と好調なスタートを切り、波に乗って臨んだ6試合目の登板がこのマリナーズ戦だった。

 1番ライトで出場していたイチローが最初に打席に入ったのは1回裏の先頭。結果は二ゴロで第1ラウンドは野茂の勝ちに終わる。3回の第2打席もイチローが中飛に倒れ無安打。そして、1対1の同点5回2死二塁の第3打席のことだった。野茂の投げた90マイル(約145キロ)が内角へ切れ込み、よけようと体を背けたイチローの背中にぶつかった。

「息ができなかった」

 イチローは試合後にそう言った。