「4年後、ロス五輪で絶対に結果を出したい」女子バレー石川真佑(24歳)がイタリア出発前に語った本音「パリ五輪で痛感した1点の重み」

AI要約

バレーボール女子日本代表が悔しさを胸に帰国後、新シーズンに向けて準備を始める石川真佑の姿。

パリ五輪での悔しさを噛みしめる石川の気持ちと、初戦での試合展開について。

試合中に交代された石川が、落ち着いた態度でチーム戦略を考え続ける姿。

「4年後、ロス五輪で絶対に結果を出したい」女子バレー石川真佑(24歳)がイタリア出発前に語った本音「パリ五輪で痛感した1点の重み」

 パリ五輪で惜しくも決勝ラウンド進出を逃したバレーボール女子日本代表。帰国後、束の間のオフを過ごした石川真佑(24歳)はすぐさま新シーズンに向けてイタリアに飛び立った。悔しさを噛み締めながらも、視線は4年後のロス五輪に向いている。【NumberWebインタビュー全2回の1回目】

 あっという間だった。

 東京からパリへの3年間、五輪が始まってから終わるまで。さらに言うならば、パリから帰国してイタリアへ出発するこの日まで。

 すべてが「早かった」と噛みしめるように、石川真佑が振り返る。

「帰国して、実家に帰ってからも普通にまだ、オリンピックはやっていたじゃないですか。テレビで見て、メダルを獲る選手のことをすごいなと思うし、でも自分たちだって可能性は絶対にあったというもどかしさもあった。『終わった』という解放感とか安堵とかはまったくないですね。むしろ、力を出し切れず、何もできずに終わったという気持ちのほうが強いです」

 2度目の五輪を語る石川の表情には、悔しさが滲んでいた。

 同じ五輪とはいえ、自国開催ながら無観客の東京五輪と有観客で満員の観客が詰めかける中で戦ったパリ五輪はまるで違った。

「朝の試合からたくさんの方が会場にいて、熱気がすごかった。プレッシャーを感じることはなかったですけど、戦うぞという気持ちは東京の時よりも強くありました」

 女子バレー日本代表の初戦は7月28日、現地時間13時からのポーランド戦だった。5月のネーションズリーグでは敗れている。高さだけでなく攻守のバランスに長けたチームで、優勝候補の呼び声高い強豪の一つだった。

 会場や雰囲気に慣れずに挑む初戦で対峙するには、厳しい相手だったが、石川自身の調子は上向きだった。

「どちらかと言うと、高い相手のほうが私はやりやすいんです。ブロックもよく見えるから、指先や外側(でブロックに跳ぶ)の選手の腕や手を狙えばブロックアウトも取りやすい。そこはまさにイタリアで経験して、積み重ねてきたし、高さに対する慣れもあります。実際に(ポーランド戦でも)自分の調子もよかったし、1セット目も獲った。感触はめちゃくちゃよかったです」

 第2セットに入ってからも日本は石川、古賀紗理那を中心にした攻撃で得点を重ねたが、ポーランドもブロックとレシーブが連係し始める。1本では決まらず、サイドに攻撃が偏ったところでブロックに阻まれる本数も増え、僅差の末に第2、3セットを落とした。そして、14対17とポーランドに3点を先行された第4セット、石川は井上愛里沙と交代しベンチに下がった。

 ネーションズリーグでも同様に、流れを変えるために交代するケースはあったが、むしろ「調子はよかった」と振り返る試合での交代。実際にどう受け止めたのか。そう問うと、石川は淡々と答えた。

「ブロックされる本数も増えたので、交代と言われた時も悔しいとか怒りとか、そういう感情はなかったです。『あー、そうか』って。少しコンビが合わなくなっていたのも感じていたので、またいつでも戻れる準備はしていたし、逆に外から相手のディフェンスを見て、『次に自分が入ったらこうしてみよう』『これもできるんじゃないか』と思いながら見ていました」

 攻撃力に定評がある井上の投入で、確かに攻撃のリズムが変わった。加えて第3セットから林琴奈に代わった和田由紀子のライト側からの攻撃も効果的で、終盤には古賀の活躍もあり連続得点して25対24。ついに日本が逆転した。

 だが、続く1点が日本の勝負を分けるプレーとなる。

 石川も「もったいない」プレーと振り返った一本は、日本が精度にこだわってきた攻撃へつなぐ二段トスのミスだった。