「自分が不運だと思った」正式に下った“当日失格”に不服? インド女子レスラーが改めて持論「私の闘いは終わっていない」

AI要約

パリ五輪で失格となったインドの女子レスリング選手が再び活動を始める意思を示す

失格の経緯やCASの判定についてインド国内で物議を醸す

インドの女子レスリング選手の今後に注目が集まる

「自分が不運だと思った」正式に下った“当日失格”に不服? インド女子レスラーが改めて持論「私の闘いは終わっていない」

 改めて下された“失格”の判定を本人は強い覚悟を持って受け止めたようだ。今夏に行われたパリ五輪の女子レスリングフリースタイル50キロ級で、決勝当日に失格となったビネシュ・フォガト(インド)である。

 まさに世界中で物議を醸す騒動となった。1回戦で日本の須崎優衣に勝利して快進撃を続けたビネシュは、危なげなくファイナルまで進出。金メダルへの機運を高めていた。しかし、サラ・ヒルデブラント(米国)との決勝当日にまさかの計量失敗。約100グラムの体重超過により失格処分が下った。

 通常体重56キロである彼女は、決勝戦前日の晩に規定よりも2キロの体重オーバーが判明。そこから水抜きはもちろん、散髪、さらには採血までも実行したが、体重は落とせず……。過度の脱水状態で病院へ搬送されるほどの壮絶な減量も空しく、決勝の舞台には立てなかった。

 ビネシュ側は大会後に失格処分の取り消し求めて提訴。銀メダルの授与と処分の撤回をCAS(スポーツ仲裁裁判所)に求めたが、同裁判所は「計量に失敗したという点に議論の余地はない。リミットを超えないようにするのは、明らかに選手自身の責任だ」と棄却。改めて「失格」の烙印を押された形となった。

 大会後にX上で現役引退をほのめかすほどに疲弊していたビネシュ。だが、時が経ち、考え方も変化してきている。インド紙『Business Today』の取材に応じた29歳は「パリで失格となって、決勝に出られないと知った時は、ただただ自分が不運だと思った。けど、インドに戻って、多くの愛とサポートを受け、自分がとても幸運だったと感じている」と断言。「私の闘いは終わっていない。むしろ始まったばかりだ」と現役続行の意思を見せている。

 また、CASの裁定が下ってもなお、インド国内では判定を不服とする主張は続いている。インド・オリンピック協会のP.T.ウシャ会長は「100グラムというわずかな差異とその結果は、女子のキャリアに重大な影響を与えるだけでなく、曖昧な規則とその解釈について深刻な疑問を起こした」と指摘。「体重違反による完全失格には、より深い調査が必要であると考えている」として問題提起をしている。

 いまだ物議を醸す一連の騒動を経て、ビネシュはいかに成長を遂げるのか。4年後のロサンゼルス五輪出場にも意欲を見せる彼女の今後は大きな注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]