【巨人】菅野智之〝完全復活〟まで2年の道のり 久保康生コーチが明かす「投球フォームの変化」

AI要約

菅野智之投手が名伯楽久保康生巡回投手コーチの指導により、12勝を挙げる活躍を見せている。久保Cは、菅野の体の使い方を改善することが復活のカギだったと語る。

久保Cは、菅野に「やじろべえ理論」を教え、フォームの変化に約2年かかったことを明かす。菅野は復活までに苦労したが、指導の成果が見られた。

菅野の復活には、久保Cや他のコーチのサポートが不可欠であり、チーム全体のバランスも良い状態であることが成功の要因だった。

【巨人】菅野智之〝完全復活〟まで2年の道のり 久保康生コーチが明かす「投球フォームの変化」

 巨人の円熟右腕を完全復活させた〝名伯楽〟が直撃に答えた。25日の中日戦(東京ドーム)で菅野智之投手(34)はリーグ単独トップの12勝(2敗)をマーク。その右腕が感謝の言葉を常々口にするのが久保康生巡回投手コーチ(66)だ。近鉄、阪神、ソフトバンクでマンツーマン指導を行い岩隈久志、メッセンジャーら名投手を育ててきた同コーチが、約2年間にわたる菅野の「華麗なる復活」までの道のりを明かした。

 ――昨季4勝(8敗)の菅野復活の最大のカギは

 久保コーチ(=以下、久保C) 体の使い方がいびつだと体もあちこち痛くなるし状態も悪くなる。理にかなった、守らなければならない部分があって、それを守っていけばそんなに壊れることはない。菅野は昨年の時点であちこちがひずんでいた。そういうのも含めて、彼には話をした。

 ――基本は体を揺らして力の原理を確かめる「やじろべえ理論」

 久保C そう。ぎっこんばったん(笑い)。菅野は今年になって急に変わったわけではない。去年は4勝だったけどそこまでフォームを作りこんでいた。そのため前半戦を捨ててしまう形になった。

 ――同学年の原前監督に呼ばれ、2022年秋に巡回コーチに就任。すぐに菅野は話を聞き入れたのか

 久保C 23年2月の春季キャンプで最初にしっかりと話をしたが、その時は完全には受け入れられなかった。キャリアがあるし、投球フォームを変えるのはなかなか難しい。ようやく一度、ちゃんと聞こうかとなったのが4~5月。右肘違和感で開幕投手をキャンセルして、菅野が二軍に来た。ケガが治って動けるようになってからだから、実際に動きを変えるのに6月までかかった。

 ――その時はスムーズにいったのか

 久保C いや(笑い)。まず大竹寛コーチ(現二軍投手コーチ)がリハビリ担当をしていたので、菅野に橋渡しをお願いした。こういうアプローチがあると間接的に伝えて。最初にガツッと言ったので、あまり無理にいっても菅野に迷惑かなと。本人が聞きたい時に聞いてくれればと。

 ――指導で直球の出力はすぐに上がった

 久保C 体の使い方が良ければ、登板翌日でも疲労はなくキャッチボールや遠投ができる。それまで菅野は始動の時に体をねじっていた。それを自然と体がパタンと倒れる形に変えた。自分の高さを生かしたフォーム。菅野も以前はそうやって投げていたんだけど、キャリアを重ねるウチに段々と体をねじるようになっていた。

 ――2年越しの努力がようやく実った

 久保C 菅野と私と大竹コーチの3人にはこうなる予感はあった。去年はチーム状態もあって抑えても点が入らなかったり、4勝で止まったけど菅野の投球内容は高く評価していた。ハマればとんでもなくなると。

 ――今年2月のキャンプでの状態は

 久保C 菅野はもう完全に動きをつかんでいた。杉内投手チーフコーチも『15勝できる』と言っていたけど、私と彼の中では去年の8月には太鼓判を押している状態だった。

 ――菅野は今年で35歳。今後の見通しは

 久保C もちろん、まだまだいける。35~40歳で最盛期を迎えた投手は自分が現役を過ごした近鉄、阪神にもいっぱいいた。その意味では今回は自分の中の経験が生きた。菅野は直球の出力を出そうと思えば、154~155キロは出る。それをある程度、制球を重視して抑えている。自分の私利私欲で球速を出すのではなく、チームが勝てるピッチングに徹している。

 ――巨人は投手陣の奮闘もあって優勝争い中

 久保C 戸郷と山崎伊がカード頭で頑張ることで菅野の勝ち星が増えている。若手とベテランのバランスとしてはとてもいい状態にあると思う。