初開催スタジアム市街戦はトヨタのカミーロがスプリント制覇。マッサが選手権首位浮上/SCB第7戦

AI要約

SCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第7戦で、カミーロが初勝利し、バプティスタが2勝目を飾って総合首位に立つ。

ストリートサーキットでのレースはチームTOYOTA GAZOO Racingブラジルが強さを見せ、バリチェロ親子も話題となる。

次戦はリオグランデ・ド・スル州での開催が予定されている。

初開催スタジアム市街戦はトヨタのカミーロがスプリント制覇。マッサが選手権首位浮上/SCB第7戦

 ブラジル南東部ミナスジェライスの州都ベロオリゾンテにて、8月16~18日の週末に開催されたSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第7戦は、特徴的なインバーテッドグリッドの規則を活かしたチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が土曜スプリントを初制覇し、歴代2位タイのキャリア通算40勝目に到達。

 続く日曜のメインレースでは、ポールシッターのSCB“3連覇”経験者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)を仕留めたフェリペ・バプティスタ(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)が今季2勝目を飾り、ネルソン・ピケJr.(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)とシリーズ5冠の“帝王”カカ・ブエノ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)が続く表彰台に。

 そして今季好調を維持するフェリペ・マッサ(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)が、2021年のフルシーズンデビュー以来初となる選手権リーダーに浮上している。

 象徴的なミネイロン・スタジアムの周囲に建設されたストリートサーキットでの初開催イベント『BHストック・フェスティバル』の日を迎えたSCBは、F1でも活躍したクリスティアーノ・ダ・マッタの父で、ブラジルモータースポーツ界の伝説的存在に敬意を表し“トニーニョ・ダ・マッタ・サーキット”と命名された。

 全長3113m、時計回りに12のコーナーを備える都市型レイアウトでの走り出しは、タイム、ドライビング、​​トラック自体の面で大きな進化が見られ、ドライバーたちが周回を重ねるごとに路面のグリップも増大。FP1はセラが1分26秒台、続くFP2は僚友リカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が1分24秒台でセッション首位に立った。

「僕らはたくさん周回することができたし、トラックはトレーニング中に大きく進化した。そしてドライブするにはクールなサーキットで、楽しいし、タイムはまだもっと上がると思う。ここBHでの経験は本当に素晴らしいものだね」と、そのファーストインプレッションを語ったSCB3冠のマウリシオ。

■今季初勝利のカミーロが4冠に匹敵する快挙

 迎えた土曜午前の予選時には気温がさらに上昇し、路面温度も前日とは異なる高温度帯へ推移するなか、前日のマシンバランスを活かしたセラが今季3度目、キャリア通算16回目のポールポジションを奪取し、初開催ベロオリゾンテ最速の男として歴史に名を刻んだ。

「ストリートでポールポジションを獲得できてとてもうれしい。ストックカーでポールを獲得することはいつだって大きな喜びだが、挑戦的なストリートでそれを達成するのはさらに素晴らしいことさ」と喜びを語ったセラ。

「速いクルマを与えてくれ、最初のプラクティスから限界を見つける自信を与えてくれたチームには感謝しかないね。今はちょっとしたお祝いの時間だが、このクルマは多くの可能性を秘めている。ここから週末のふたつのレースに集中する時間になるだろうね」

 インバーテッドグリッドルールにより、予選の12番手がスプリントレースの先頭に立つ権利を得ることになり、わずか0.007秒差でその地位を獲得したカミーロが今季初勝利に向け快走。セーフティカーの介入もなく非常にクリーンな展開となった午後の30分+1周を通じてリードを維持し、若手有望株のエンツォ・エリアス(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)を従え、通算4回のチャンピオンを数えるパウロ・ゴメスに匹敵する快挙を成し遂げた。

「まさか! そんなうれしい記録に並んでいるなんて。自分がパウロ・ゴメスと同等だったとは知らなかったよ」と、まずは初開催地制覇より統計上の記録に驚きを表明したカミーロ。

「僕はチコ・セラや(通算77勝、12回の王座を誇る)インゴ・ホフマンといった伝説的な選手たちのレースを見て育った。この初開催BHで、厳しいシーズンに飾ったこの勝利は非常に特別なものだし、今はキーを回して最初からやり直すためのすべてが揃っている」

「これほど大きなパーティーで40回目の勝利を達成することは非常に特別なことだし、これ以上に素晴らしいステージはないね。この規模のイベントを実現するため尽力した主催者、プロモーター、すべての人々に感謝している」

 2位エリアスの背後には、義務ピットウインドウで22歳の愛息ドゥドゥことエドゥアルド・バリチェロ(モービルエール・フルタイム/トヨタ・カローラ)を逆転した“2冠”の父ルーベンスが最後の表彰台を奪い、5位のアーサー・ライスト(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)を含め、トップ5全車をTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営が占める結果となった。

■愛息ドゥドゥと「いつか一緒に表彰台に上る」と父ルーベンス

「なんと素晴らしい観衆、なんと狂気的で狂おしい叫び! 全員で皆の声援に応えてパレードを歩くのはとても気持ちよかったよ」と続けた3位のバリチェロ。

「ただ正直に言うと、結局ドゥドゥは4位だったし一緒に登るチャンスがあるのではないかと期待していた。でも僕ら親子はそこに到達しつつあり、いつか一緒に表彰台に上ることができるはずさ」

 引き続き暑い午後となった日曜はサンパウロ出身の21歳が躍動し、ポール発進を決めた3度のチャンピオンに対し大胆なオーバーテイクを実行。追い抜きの難しい市街地で自ら今季2度目の勝利への道を切り拓くと、義務ピット作業で遅れたセラはここで優勝戦線から脱落することに。

 それぞれ今季最高の成績を収めた2位ピケJr.と3位の帝王ブエノを従えたバプティスタが、安定したパフォーマンスを披露して優勝を飾ってみせた。

「信じられないような週末。ストリートサーキットでのデビュー戦で、こんな新しくて挑戦的なトラックに到着し、そこでとてもうまくドライブできたことが本当にうれしい」と、まずは自身の走りに対する満足感を表明したバプティスタ。

「昨日も今日もペースはとても良く、2周目への突入直後にセリーニャ(セラの愛称)を追い抜くことができた。あとは距離を管理し、周回ごとに距離を縮めていくだけだったね」

 この勝利により、ポイントスタンディング上でも545点まで伸ばしたバプティスタは、先輩リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)と同率で並ぶランキング2位に浮上。そのふたりをわずか4ポイント上回るかたちで、日曜9位入賞のマッサが同ランク3位から自身初の首位に立った。そんな2024年のSCBシーズン、続く第8戦は9月7~8日に掛けて、リオグランデ・ド・スル州に位置するアウトドローモ・ヴェロパークで開催される。

[オートスポーツweb 2024年08月23日]