「グッドラック!」ロナウジーニョがイングランドに渡った19歳の息子にエール。テクニックは父親譲りだが、天才肌では…【現地発】

AI要約

バーンリーがロナウジーニョの長男ジョアン・メンデスの入団を発表。

ジョアンの経歴や才能について紹介。

ジョアンが父親の名前に左右されずに自己成長を果たす可能性に注目。

「グッドラック!」ロナウジーニョがイングランドに渡った19歳の息子にエール。テクニックは父親譲りだが、天才肌では…【現地発】

 イングランド2部のバーンリーが8月14日、ロナウジーニョの長男ジョアン・メンデス(19歳)の入団を発表した。翌日、父親は自身のSNSで「グッドラック!ベストを尽くせ!」と励ました。

 

 バーンリーの地元では、「ロナウジーニョの息子がバルセロナからやってくる」と期待が沸騰。スコット・パーカー監督が「彼はまだ若い。しかもイングランドは、ブラジルやスペインと文化や物事の進め方が大きく異なる。早急に結果を求めなるべきではない」と加熱を諫める事態となっている。

 

 ジョアンは、ロナウジーニョとブラジル人ダンサー、ジャナイーナさんの間にリオで生まれた。ロナウジーニョはこの女性と結婚こそしなかったが、認知して養育費を支払い、成長を見守ってきた。

 

 2018年、13歳のジョアンは母親の友人の紹介で強豪クルゼイロのアカデミーのテストを受けて合格。父ロナウジーニョと同じ職業に就くことを目指す。

 

 父親とは違って左利きで、主なポジションは右ウイング。父親を彷彿とさせる柔らかいテクニックを持つが、スピードと決定力にはやや課題を残す。年齢別の州選手権などでプレーしていたものの、2022年にクルゼイロを退団。昨年3月、父親の紹介でバルセロナのU-18のテストを受けて合格した。

 

 しかし、バルセロナのU-18、U-19では左SBとして起用されることが多く、持ち味を発揮できたとは言い難かった。そして今年6月末に契約満了で退団。欧州に留まることを希望する本人の意向を汲んだ代理人が、複数のクラブに入団を打診していたようだ。

 

 これまでトップチームでプレーした経験がなく、ブラジル国内でもどんな選手なのかほとんど知られていない。ポテンシャルも未知数だ。

 父親は、18歳にして名門グレミオのトップチームにデビュー。19歳でセレソンに招集され、コパ・アメリカに出場すると、ベネズエラ戦で二人のDFをドリブルで抜き去る見事なゴールを決めて衝撃を与えた。天才肌の父親と比べると、現時点で息子が遅れを取っているのは否めない。

 

 ペレ、ジーコらの息子もプロ選手を目指したが、いずれも大成しなかった。彼らは異口同音に、「偉大な父親と事あるごとに比べられ、この上なくつらかった」と述懐する。

 

 ジョアンも、選手としてのクオリティーではなく「あのロナウジーニョの息子」として注目を集めてきた。今後、彼がこの"逆境"をどう跳ね返すのか。それは現時点では誰にもわからない。確かなのは、ジョアンが今後も世界中の人々の耳目を集め続けるということだ。

 

 

文●沢田啓明

 

【著者プロフィール】

1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。